三条教則とは、明治5年に維新政府が教導職という国民を教化する役目の一部の人たちに布達した「敬神愛国・天理人道・皇上奉戴朝旨遵守」から成る短いものです。のちの教育勅語と同じように「国民生活の日常における倫理的ガイドライン」といえるもので、余りに短いので国民教化の責務を負わされた教導職向けに解説書である衍義書(えんぎしょ)が神職や僧侶などによってそれぞれの立場から多く刊行されました。本書は、神仏分離という厳しい局面に立たされていた僧侶が三条教則や教育勅語にどのようにアプローチしたのかを、従来顧みられなかった衍義書に注目し、ユニークな視点から分析、従来の明治仏教史の通説とは異なる革新的見解を示します。また、江戸期に民間で道徳を説いていた石門心学者、明治期に禁教が解かれたキリスト者による希少な衍義書についても発掘、詳細に分析します。