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ロボット工学と仏教――AI時代の科学の限界と可能性

著:森政弘
著:上出寛子

紙版

内容紹介

仏教とは縁もゆかりもなかった心理学者・上出寛子氏が、ロボット工学の世界的権威で仏教哲学の専門家でもある森政弘氏との出会いを契機に仏教哲学を学び始め、ついにはロボット工学系の国際会議において英語で仏教哲学を紹介するまでになる――。
本書は、この「師弟」研究者の間に交わされた600通を超える電子メールを約200通に凝縮して、時系列に配列したものです。読者は、森氏の懇切丁寧で時宜に適った指導と上出氏の鋭敏かつ真摯な姿勢によって、普遍性を持つ思想・哲学としての仏教が学問領域の垣根を越え、自然に伝播していく様子を目の当たりにします。
森氏は、技術の発展や向上のみに邁進する現代日本社会にあって、それらを担う科学・理工系の人たちが仏教哲学を体得し、それを研究・開発に活かしていくことによって初めて、技術が人々を真の幸福へと導くものになると語ります。
AI(人工知能)の技術開発が「心・欲望・悟り」の領域に入りつつある今日、とくに理系の研究者や技術者、学生にお薦めの仏教哲学入門書です。仏教用語の多くに注を施したほか、写真・図版を計25点掲載。

目次

まえがき
第1章 森と上出の出会い
第2章 仏教と科学の出会い
第3章 坐禅へのいざない
第4章 発見への眼力養成と坐禅初体験
第5章 応用仏教としての科学
第6章 日本ロボット学会へ仏教を紹介
第7章 「ロボットと仏教哲学」――森と上出の共同講演へ
第8章 講演の作法、「三性の理」の具体例
第9章 上出、森から『法華経』を紹介される
第10章 ロボットは仏性丸出し
第11章 技術の軍事転用に対する仏教の考え
第12章 日常生活での仏教実践
第13章 ロボット事始めから原子力の善・悪まで
第14章 上出、国際会議で仏教哲学を紹介
第15章 『大正新脩大藏経』について
第16章 日本ロボット学会会員への厳しい問いかけ
第17章 仏教と科学をつなげる
あとがき

著者略歴

著:森政弘
1927年、三重県に生まれる。名古屋大学工学部電気学科卒業。工学博士。東京大学教授、東京工業大学教授を経て現在、東京工業大学名誉教授、日本ロボット学会名誉会長、中央学術研究所講師、NPO法人国際ロボフェスタ協会特別顧問を務める。ロボットコンテスト(ロボコン)の創始者であるとともに、「不気味の谷」現象の発見者であり、約40年にわたる仏教および禅研究家としての著作も多い。紫綬褒章および勲三等旭日中綬章を受章、NHK放送文化賞、ロボット活用社会貢献賞ほかを受賞する。おもな著書に『機械部品の幕の内弁当――ロボット博士の創造への扉』『ロボット考学と人間――未来のためのロボット工学』(共にオーム社)、『今を生きていく力「六波羅蜜」』(教育評論社)、『親子のための仏教入門――我慢が楽しくなる技術』(幻冬舎新書)、『退歩を学べ――ロボット博士の仏教的省察』『仏教新論』(共に佼成出版社)等がある。
著:上出寛子
1980年、大阪府に生まれる。大阪大学人間科学部人間科学学科卒業。博士(人間科学)。大阪大学特任助教、東北大学助教を経て、現在、名古屋大学特任准教授。日本ロボット学会の安心ロボティクス研究専門委員会幹事、ロボット哲学研究専門委員会委員長を務める。現在は、両委員会が終了し、引き続き、ロボット考学研究専門委員会を立ち上げ、委員長を務める。大阪大学総長奨励賞、日本応用心理学会優秀大会発表賞、日本ロボット学会研究奨励賞などを受賞する。

ISBN:9784333027842
出版社:佼成出版社
判型:4-6
ページ数:512ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2018年06月
発売日:2018年06月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KN
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:UY