多文化理解の語学教育
語用論的指導への招待
編著:石原 紀子
著:アンドリュー・コーエン
内容紹介
★語用論的指導の重要性を確認し、その具体的指導法を考える
ことばに込められた間接的な意味を理解し、相手の真意をくむ。また、相手に親しげに話しかけたり、丁寧にお願いしたりしながら人間関係を築く。だれもが 日常行っていることだが、これを外国語で行うには、文化的知識や社会的規範の理解をともなう「語用論的能力」なしには難しい。完璧な文法や語彙であっても、さまざまな場面で状況に応じた適切な言語を使用できなければ多文化間のコミュニケーションを成功させることはできない。
語用論的指導は、多文化間コミュニケーションの一端であるため、大学のみならず、中学・高校・また小学校での英語教育にも深い関連があり、グローバル化 が叫ばれる今、国内でも今後ますます注目される分野である。本書は語学をコミュニカティブに教えようとする教員が、日々の授業に語用論的指導や評価を取り入れていくための実践的ガイドブックである。語学教員・教員養成指導者・教材執筆者・カリキュラム編成者を主な読者として想定し、ともに効果的な語用論的指導を考える。
語用論的能力とは、対人関係やコンテクストをわきまえた待遇表現、ポライトネスの使い方、文化的知識や社会規範の認識などを踏まえた能力であり、応用言 語学の理論では言語運用能力の不可欠な構成要素とされている。しかしこの認識がありながら、今日の語学教育の現場においては、語用論的視点に配慮した指導 がなされているとは言いがたい。このような状況を踏まえ、語学教育に語用論的指導を取り入れる趣旨のもと、本書の原著は2010年にPearson Longman社より英語で出版された。語用論や第二言語習得理論の紹介にとどまらず、理論を言語指導の実践に取り入れる具体的な指導法に多くの紙面を費 やした。その増補・改訂版である本書は、原著の実践的な特徴を保持しつつも、その後5年間の関連研究や、より幅広い指導の具体例を加えて、日本人の読者 (主に英語指導者)向けに内容を特化し、実践面をより重視した実用書である。
本書は、Noriko Ishihara & Andrew D. Cohen 著の Teaching and Learning Pragmatics: Where Language and Culture Meet (Pearson Longman, 2010, 2014年以降はRoutledge より出版) の増補・改訂版である(増補・改訂、抄訳は、石原紀子が担当)。
目次
序章
第1部:語用論的指導の基礎
第1章 語用論の基礎概念
第2章 教員の語用論:教員の知識・信条・実践指導
第3章 語用論的言語データの収集
第4章 語用論的ことばの使い方
第5章 学習者の語用論:語用論的誤りの原因
第2部:語用論的指導の核心
第6章 第二言語習得理論と語用論的指導
第7章 語用論的指導の授業見学と指導例
第8章 語用論的指導に向けた教材の改訂
第9章 語用論的指導のためのカリキュラム編成
第3部:語用論的学習・指導・評価に関する諸問題
第10章 学習者の自律と語用論的学び
第11章 語用論的能力の評価
第12章 語用論的能力の評価の実践
結論
ISBN:9784327377380
。出版社:研究社
。判型:A5
。ページ数:312ページ
。定価:3500円(本体)
。発行年月日:2015年03月
。発売日:2015年03月14日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:CF。