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幽玄とさびの美学

日本的美意識論再考

著:西村 清和

紙版

内容紹介

日本的美意識といわれる「幽玄・さび」。俊成や芭蕉の歌論や俳論にその実質を検討、「日本的なるもの」の有効性を批判的に検証する。

日本の芸能や文学を規定する美意識として機能してきた「幽玄」や「さび」に関わる論文をテクストに照らし美学的観点から検証していく。作品当時の文脈と近代以降の再発見/再評価以降で微妙に意味やニュアンスを変えつつ「日本的美意識」と呼ばれてきた観念の本質とは。曖昧なままにされてきた価値基準を美学的観点から問いなおす。

目次

序 章 日本的美意識
 1 幽玄と象徴
 2 芭蕉の「象徴主義」
 3 能と『新古今集』
 4 「日本的なるもの」

第一章 俊成の幽玄
 1 歌合の評語
 2 余情と幽玄
 3 判詞における幽玄
 4 美的概念

第二章 俊成の艶
 1 『源氏物語』の艶
 2 感覚語と感情語
 3 判詞における艶
 4 幽玄と艶

第三章 定家の妖艶と世阿弥の幽玄
 1 余情妖艶と新古今調新風
 2 本歌・本説取り
 3 三句切れ──疎句の詩法
 4 物語りと描写──「劇化の術」
 5 物語的構想歌と語りの視点
 6 景情の照応と象徴
 7 気分象徴と象徴主義
 8 〈情況=情態性〉の造形
 9 定家以後と世阿弥の幽玄

第四章 芭蕉の「さび」
 1 俳諧の笑い
 2 貞門と談林
 3 蕉門の連句
 4 芭蕉の発句
 5 切字と疎句化
 6 「取合せ」と「とりはやし」
 7 主体の出現
 8 俳諧の誠
 9 「さびしほり」
 10 フモールと苦微笑

終 章 省略語としての「日本的なるもの」


あとがき
和歌・連歌・俳諧 索引

著者略歴

著:西村 清和
西村 清和(にしむら きよかず) 1948年生まれ。東京大学文学部美学芸術学科卒業、同大学院修了。東京大学名誉教授。著書『遊びの現象学』(勁草書房、サントリー学芸賞)、『フィクションの美学』(勁草書房)、『笑う人間/笑いの現在』(共著、ポーラ文化研究所)、『現代アートの哲学』(産業図書)、『視線の物語・写真の哲学』(講談社)、『電脳遊戯の少年少女たち』(講談社)、『イメージの修辞学』(三元社)、『プラスチックの木でなにが悪いのか』(勁草書房)、『日常性の環境美学』(編著、勁草書房)、『感情の哲学』(勁草書房)ほか。訳書 ゾルガー『美学講義』(玉川大学出版部)、『シェリング著作集3 同一哲学と芸術哲学』(共編訳、燈影舎)、『分析美学基本論文集』(編・監訳、勁草書房)。

ISBN:9784326851973
出版社:勁草書房
判型:4-6
ページ数:328ページ
定価:3700円(本体)
発行年月日:2021年05月
発売日:2021年05月31日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:ABA