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生活不安定層のニーズと支援

シングル・ペアレント、単身女性、非正規就業者の実態

著:西村 幸満

紙版

内容紹介

社会で顕在化する生活の不安定リスクの高い層を対象に調査を行い、実態解明と、支援のあり方について事実の提示と批判的検討を行う。

男性高齢単身者、シングルマザー、就職氷河期世代の非正規就業者などの生活不安を抱える層は、複合的な課題を内包している。女性の社会進出や単身世帯の増加により、従来の制度では実際の社会ニーズに対処できない事態が生じている。各クラスターでいかなる真の支援ニーズがあるのかを明らかにし、今後の社会保障のあり方を提言する。

目次

はじめに

第Ⅰ部 生活保障と日本社会

第1章 生活保障の社会科学
 1.社会的リスクと生活保障
 2.生活保障の空白──雇用,家族,地域と社会保障
 3.生活保障と就労・非就労

第2章 生活保障としての働き方と家族の変化
 1.雇用社会の成立と生活保障
 2.良好な雇用機会と企業の福利厚生の拡大と縮小
 3.家族の変化

第3章 生活支援の動き──地方自治体を中心とする生活支援提供体制の可能性
 1.ナショナル・ミニマムから地域へ
 2.地域福祉の主流化
 3.地域における生活支援の提供体制の構築──自立の多元化と自助の拡大
 4.生活困窮者自立支援制度と支援体制のタイプ

第4章 狭間へのアプローチ──政策研究としての質的調査の課題
 1.質的調査から量的調査へ
 2.日本における調査の特徴
 3.調査を取り巻く新たな問題とエビデンスに基づく政策研究(EBPM)
 4.政策研究志向と社会調査

第Ⅱ部 さまざまな支援ニーズの分析

第5章 高齢男性単身者の生活と生活不安と課題
 1.高齢男性単身者の支援ニーズ
 2.単身化(単独世帯化)と高齢化の複合問題と支援
 3.相談窓口の利用者の評価
 4.高齢相談者への対応と限界

第6章 女性のひとり親,単身女性の生活不安と支援の限界
 1.問題の所在
 2.女性のひとり親(シングル・マザー)と女性単身者
 3.相談窓口の利用者の評価
 4.整理と結論

第7章 就職氷河期世代の生活と生活の向上──支援ニーズから
 1.長期化したリスク層
 2.分析
 3.就職氷河期世代の支援

第8章 相談窓口支援の今後
 1.生活保障アプローチ
 2.支援ニーズの整理と考察
 3.本書の課題

資 料
参考文献
おわりに
人名索引
事項索引
初出一覧

著者略歴

著:西村 幸満
西村 幸満(にしむら ゆきみつ) 
東京工業大学大学院理工学研究科博士後期課程単位取得退学。現在:国立社会保障・人口問題研究所 社会保障応用分析研究部 第1室長。著書:『地域で担う生活支援——自治体の役割と連携』(監修、東京大学出版会、2018年)。『希望学 あしたの向こうに――希望の福井、福井の希望』(分担執筆、東京大学出版会、2013年)、『日本社会の生活不安——自助・共助・公助の新たなかたち』(分担執筆、慶應義塾大学出版会、2012年)、『社会保障と経済1 企業と労働』(分担執筆、東京大学出版会、2009年)

ISBN:9784326603329
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:180ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2021年02月
発売日:2021年02月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS