その規約、読みますか?
義務的情報開示の失敗
著:オムリ・ベン=シャハー
著:カール・E・シュナイダー
他訳:松尾 加代
内容紹介
毎日のように出くわす「読みました」「承認」のチェック。その内容を本当に理解できていますか? 適切な情報の開示について論じる。
ウェブサービス、保険、カードなど、さまざまな契約に伴う長大な注意書きをきちんと把握することは可能なのだろうか。法律は十分な情報提供とそれに基づく判断を求めるが、「開示すれば良い」というのは幻想である。本書は人間の情報処理能力に関する科学的知見をもとに、契約社会の限界について議論し考える上での材料を提供する。
【原著】Omri Ben-Shahar and Carl E. Schneider, More Than You Wanted to Know: The Failure of Mandated Disclosure. (Princeton University Press, 2014)
目次
まえがき
第1部 開示義務の遍在性
第1章 はじめに
第2章 複雑な意思決定,複雑な情報開示
集中的な問題
根深い情報開示
膨大な問題,膨大な解決策
結 論
第3章 開示義務の失敗
開示義務の目標は何か
開示義務の失敗の証拠
結 論
第2部 なぜ情報開示は失敗するのか
第4章 「何でも同意します」:開示義務の心理学
意思決定嫌悪
開示義務と社会における運用
結 論
第5章 情報開示を読む
リテラシー
計算能力
領域に関するリテラシー
リテラシーの問題は解決できるか
第6章 分量の問題
蓄積の問題
過重負荷の問題
第7章 情報開示から意思決定へ
汝自身を知れ
限定合理性:歪んだ認知,歪んだ意思決定
行動経済学は問題か解決策か
第2部の結論
第3部 開示義務を有効に機能させることはできるのか
第8章 シンプルにすれば良い?
はじめに
言葉のシンプル化
シンプル化したプレゼンテーション
点数化
食品ラベルの例
結 論
第9章 情報開示の政治学
開示義務の効果の自明性
格言が具体化する:トラブルの物語
格言と予算
格言と可能性の技術
開示の広がり
立法者の集団行動問題
第10章 開示を作る
開示者から見た世界
ルールに従う
裁量のある義務づけ
開示を伝える
事例:利益相反の開示を行う
結 論
第11章 少なくとも害はないのだろうか
規制を悪くする
意思決定を悪くする
市場を悪くする
不公正を増大させる
最悪,致命的
結 論
第12章 結論:開示主義を越えて
義務づけなしの情報:仲介者の役割
万能薬なき世界
参考文献・注
索 引
ISBN:9784326404063
。出版社:勁草書房
。判型:A5
。ページ数:276ページ
。定価:3200円(本体)
。発行年月日:2022年05月
。発売日:2022年05月27日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LA。