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「社会の決まり」はどのように決まるか

編:亀田 達也

紙版

内容紹介

法律のような明文化されたルールから、暗黙裡に共有される「?すべき」という信念に至るまでの様々な社会規範は、重要な文化的装置であると同時に、動物とヒトの社会を区別する上で最も重要な鍵でもある。社会規範の成立と維持を支える人間の特性について、生物学者と社会科学者が、分野を超えた研究連携の具体的な展開を示す。

目次

フロンティア実験社会科学 刊行にあたって
はじめに

序章 「社会の決まりはどのように決まるか」という問い[亀田達也]
 1.「血と爪」vs.社会規範
 2.霊長類の脳進化と群れサイズ
 3.コーディネーション問題と秩序問題
 4.本巻の構成

第1章 協力の進化――人間社会の制度を進化生物学からみて[巌佐庸]
 1.はじめに
 2.ヒト以外の動物での協力
 3.評判によって協力を維持する
 4.さまざまな発展
 5.湖水の水質改善問題――生態系と人々の選択の結合ダイナミックス
 6.累進的処罰
 7.おわりに

第2章 集団における協力の構造と協力維持のためのルール――進化シミュレーションと聞き取り調査[中丸麻由子・小池心平]
 1.はじめに
 2.進化シミュレーションによるAll-for-one構造の解析
 3.佐渡島における現代の頼母子講や相互扶助の事例調査
 4.聞き取り調査と進化シミュレーションから
 補遺

第3章 規範はどのように実効化されるのか――実験的検討[高橋伸幸・稲葉美里]
 1.はじめに――規範,社会的ジレンマ,実効化
 2.規範実効化の代表的な方法としてのサンクション
 3.二次のジレンマ問題
 4.コストのかからない規範の実効化
 5.規範の実効化は別な行動の副産物か?
 6.今後の展望
 7.結び

第4章 間接互恵性状況での人間行動[真島理恵]
 1.はじめに
 2.なぜ利他行動が存在するか?
 3.利他行動の適応的基盤
 4.間接互恵性の実証研究
 5.一次・二次情報を統制した間接互恵性実験
 6.実証データから理論へ

第5章 人間と動物の集団意思決定[豊川航]
 1.はじめに――集団意思決定という普遍的な現象
 2.集団意思決定を捉える2つの軸
 3.集約型意思決定
 4.合意型意思決定
 5.集団意思決定研究の展望

第6章 集団の生産性とただ乗り問題――「生産と寄生のジレンマ」からの再考[亀田達也・金ヘリン]
 1.はじめに
 2.秩序問題と社会的ジレンマ
 3.社会的ジレンマは普遍的か?
 4.生産者-寄生者ゲーム
 5.結論

索引
執筆者紹介

著者略歴

編:亀田 達也
亀田達也(かめだ たつや)
1960年生まれ。イリノイ大学大学院心理学研究科博士課程修了。Ph.D.(心理学、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校)。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。著書に『合議の知を求めて―グループの意思決定』(共立出版)など。

ISBN:9784326349166
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:208ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2015年01月
発売日:2015年01月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB