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ドローンが変える戦争

編:古谷 知之
編:伊藤 弘太郎
編:佐藤 丙午

紙版

内容紹介

ウクライナ戦争で明らかになった「軍事用ドローン」の衝撃。有事が懸念される日本も他人事ではない、その全貌を明らかにする。

戦場はすでに変わった。いまやドローンが敵の位置を捉え、爆弾を落とし、そして自爆さえして相手を追いつめる。ウクライナ戦争でも活躍しているドローンは、はたして戦争の「ゲームチェンジャー」なのか? 軍事用ドローンの基本から各国の開発や運用、将来の可能性や日本の課題まで、第一線の専門家が結集して徹底的に検証する。

目次

略語一覧

序章 「軍事用ドローン」の衝撃[古谷知之・伊藤弘太郎]
 1.軍事ドローンの世界的趨勢
 2.なぜドローンを戦場に投入するのか?
 3.ドローンという器を使ったAI戦略
 4.何が脅威なのか?
 5.我が国のドローン導入への取り組み──安全保障はDIMEからDIME “T”へ
 おわりに──本書の目的とその概要

第Ⅰ部 ドローンの基本をおさえる

第1章 ドローンとは何か[古谷知之]
 はじめに──「ドローン」の概念整理
 1.ドローンの特徴
 2.忍び寄るドローンの脅威
 3.戦場におけるドローンの優位性
 4.無人アセット能力を活かすための環境整備を

第2章 国際法と軍用「ドローン」──軍備管理の可能性[佐藤丙午]
 1.法的規制の俯瞰的考察
 2.「戦場の範囲」をめぐる考察
 3.責任ある「人間の関与」をめぐる諸課題
 おわりに──軍備管理軍縮の可能性

第3章 ドローン技術の管理──無人航空機の輸出管理から見る[森本正崇]
 はじめに
 1.ドローンに関連する輸出管理
 2.輸出管理の意義と限界
 3.無人航空機の輸出管理をめぐる問題
 4.実効的な技術管理に向けて
 おわりに

第4章 戦術・作戦・戦略におけるドローン──イネーブラーか,ゲームチェンジャーか[部谷直亮]
 はじめに
 1.戦術・作戦における機能及び特徴
 2.戦略における機能及び特徴
 3.戦術・作戦・戦略における機能及び特徴が示すもの
 4.ドローンは戦争におけるイネーブラーであり,ゲームチェンジャー

第Ⅱ部 各国軍におけるドローン

第5章 ウクライナとロシア──戦争から見える無人航空機戦力化の論点[高橋秀行]
 はじめに
 1.開戦前──両国の軍改革に見るUAV戦力化の優先順位の違い
 2.開戦初期──火力とC2を同期させたUAV
 3.UAVと衛星の連携──有形,無形の情報優越の獲得
 4.「新世代型」と「旧世代型」の相違の顕著化
 5.低コスト化と「旧世代型」化
 おわりに

第6章 アメリカ──9.11以降のドローンの開発・運用[福田毅]
 はじめに
 1.9.11後の軍事作戦とドローン
 2.テロリストの標的殺害
 3.ドローン政策の展開
 4.ドローン関連技術の開発事例
 おわりに

第7章 韓  国──ドローン導入を加速化させる背景と実際[伊藤弘太郎]
 はじめに──人口急減社会と将来戦に備える韓国軍
 1.将来戦へ向けた軍によるビジョン策定
 2.将来戦へ向けたドローン開発
 3.北朝鮮無人機による韓国首都圏上空への侵入
 おわりに

第8章 中  国──「智能化戦争」を見すえたドローンの活用[飯田将史]
 はじめに
 1.ドローンへの期待を高める中国軍
 2.中国におけるドローンの開発状況 
 3.活発化する中国の軍用ドローンの運用
 おわりに

第9章 トルコ──国産化とドローン・ディプロマシーの展開[牧田純平]
 はじめに
 1.ドローン国産化の歴史
 2.トルコ軍によるドローンの軍事利用
 3.輸出の拡大とドローン・ディプロマシーの成立
 おわりに

第Ⅲ部 ドローンの将来性

第10章 国際平和活動におけるドローンの活用[西田一平太]
 はじめに
 1.国連PKOにおけるドローン活用
 2.非国連統括型の平和活動と人道支援活動における活用
 おわりに 

第11章 テクノロジーと人間の問題──遠隔操縦航空機の事例から見る[奥山真司]
 はじめに
 1.テクノロジーと人間
 2.心理的なストレス
 3.戦士の名誉
 おわりに

第12章 戦場で使われる「民生用」ドローン技術──軍民両用技術の現実[平田知義]
 はじめに
 1.軍民両用(デュアルユース)としての民生用ドローン
 2.先端/汎用技術と民生用ドローン
 3.国内ドローン活用における規制と課題
 おわりに

第13章 人工知能とドローン[川岸卓司]
 はじめに
 1.人工知能の概況
 2.陸・海・空のドローンへ適応する際の課題
 3.人工知能開発の指針とドローンへの適応課題
 おわりに

終章 「安全保障イノベーション・エコシステム」の確立を[古谷知之・佐藤丙午・渡辺秀明]
 はじめに
 1.社会的インパクト投資として有望な「安全保障」
 2.欧米における防衛投資強化の取り組み
 3.安全保障イノベーション・エコシステムに必要な要素
 4.防衛生産基盤を強化する上での我が国の課題 
 5.日本で安全保障イノベーション・エコシステムを構築するには
 おわりに

あとがき
執筆者紹介

著者略歴

編:古谷 知之
古谷 知之 (ふるたに ともゆき)

東京大学大学院工学系研究科博士課程修了,博士(工学)。東京大学大学院工学系研究科助手,慶應義塾大学環境情報学部専任講師,同大学総合政策学部准教授を経て,現在: 慶應義塾大学総合政策学部教授。専門は先端モビリティの社会実装,先端技術と安全保障,応用統計学,都市工学。著書:『 モビリティと人の未来──自動運転は人を幸せにするか』(平凡社,2019年,共著),Emerging Technologies for Disaster Resilience: Practical Cases and Theories(Springer, 2021,共著)など。
編:伊藤 弘太郎
伊藤 弘太郎 (いとう こうたろう)

中央大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得満期退学,同大学院より博士(政治学)を取得。衆議院議員事務所,内閣官房国家安全保障局などでの勤務を経て,現在: キヤノングローバル戦略研究所主任研究員,法政大学人間環境学部特任・任期付講師,立命館大学客員准教授。専門は韓国の外交安全保障,アジア太平洋の国際関係。主著:『「 技術」が変える戦争と平和』(芙蓉書房出版,2018年,共著),『韓国の国防政策──「強軍化」を支える防衛産業と国防外交』(勁草書房,2023年)など。
編:佐藤 丙午
佐藤 丙午 (さとう へいご)

一橋大学大学院法学研究科修了,博士(法学)。防衛庁防衛研究所主任研究官,拓殖大学海外事情研究所教授,同大学国際学部教授を経て,現在: 拓殖大学海外事情研究所所長。専門は安全保障,軍備管理,アメリカ外交。主著:『 ウクライナ戦争と激変する国際秩序』(並木書房,2022年,共著),『経済安全保障と技術優位』(勁草書房,2023年,共著)など。

ISBN:9784326303380
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:288ページ
定価:3600円(本体)
発行年月日:2024年02月
発売日:2024年02月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TRP