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日本大学法学部叢書

政党助成とカルテル政党

著:浅井 直哉

紙版

内容紹介

国家からの助成によって組織を維持するカルテル政党。日本の政党助成制度の導入は各党の組織と政党間のかかわりをどう変化させたか。

カルテル政党とは、幹部政党、大衆政党、包括政党に次ぐ政党組織のモデルである。カルテル政党論において、政党は自らの生存を第一義的な目標とし、組織や活動を維持するために共謀して政党助成制度を導入すると論じられる。本書は日本の政党助成制度がどのように制定され、各党の資金構造にどのような影響を与えたのかを検証する。

目次

序 章 カルテル政党論の射程
 1 政党組織の変化
 2 政党の「適応」・「変化」・「生存」

第1章 分析の視角
 1 カルテル政党モデルの論点
 2 カルテル政党論の系譜
 3 カルテル政党論の分析視角
 4 本書の構成

第2章 日本の政党助成制度
 1 政党助成制度と政党間カルテル
 2 政党助成制度の分析視角
 3 日本における政党助成制度の特徴
 4 収入構造の同質化
 5 資金の安定

第3章 政党助成制度の導入をめぐる政党間カルテルの形成
 1 政党助成制度導入の促進要因
 2 政党間カルテルの形成に関する分析視角
 3 政党の資金需要
 4 政党助成制度の導入過程
 5 政党助成に関する手段と目的

第4章 三分の二条項の撤廃過程
 1 政党助成の上限撤廃
 2 上限撤廃に関する自民党の対応
 3 三分の二条項の撤廃をめぐる分析視角
 4 連立政権下における自民党への圧力
 5 制度変更の促進要因

第5章 資金配分における第一党と第二党:自民党と民主党の政党資金
 1 政党資金における政党助成の役割
 2 資金構造に関する分析視角
 3 自民党の政党資金
 4 民主党の政党資金
 5 「第一党・第二党」の資金と政党助成

第6章 第三党以下の政党資金:社民党と公明党
 1 社民党の政党資金
 2 公明党の政党資金
 3 社民党・公明党における政党助成制度

第7章 新党の資金構造
 1 新党の政党資金
 2 各党の政党資金と政党交付金(─2000年)
 3 各党の政党資金と政党交付金(2001─2020年)
 4 新党における政党助成制度

終 章 総括と展望
 1 政党助成をめぐる政党間カルテル
 2 日本政治におけるカルテル政党
 3 課題と展望

参考資料および参考文献
あとがき
人名索引
事項索引

著者略歴

著:浅井 直哉
浅井 直哉(あさい なおや)

1990年東京都生まれ。日本大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。日本大学法学部特別助教を経て、現在は日本大学法学部専任講師。著書に『日本政治とカウンター・デモクラシー』(分担執筆、勁草書房、2017)、『日本の連立政権』(分担執筆、八千代出版、2018)、『議会制民主主義の揺らぎ』(分担執筆、勁草書房、2021)、『カルテル化する政党』(共訳、勁草書房、2023)がある。

ISBN:9784326303328
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:240ページ
定価:4800円(本体)
発行年月日:2023年11月
発売日:2023年11月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPL