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中京大学総合政策研究叢書

未だ見ぬ道州制の姿と地方自治

イギリス権限委譲との比較考察

著:今井 良幸

紙版

内容紹介

本書は、より大幅な権限の移譲を伴う制度、すなわち、より進んだ形での地方分権国家を志向した視点での道州制の形を構想していく。

道州制導入の検討にあたり、現行の憲法、法制度を前提とする議論だけでは、その内容が矮小化してしまいかねない。本書では、わが国と同じ単一国家であり、かつては中央集権国家であると位置付けられてきたイギリスにおけるスコットランドなどへの権限委譲(devolution)の制度を比較の対象の中心とし、道州制を考察する。

目次

まえがき

序 章 道州制を改めて考える

第1章 イギリスにおける権限委譲と地域分権
 第1節 イギリスにおける権限委譲と地域分権の経過とその概要
 第2節 スコットランド、ウェールズ、および北アイルランドに対する権限委譲
 第3節 イングランドにおける地域分権

第2章 委譲された議会の持つ立法権
 第1節 スコットランド議会の持つ立法権限
 第2節 シーウェル習律について
 第3節 裁判所による立法権限の確定――立法時と立法後
 第4節 1998年スコットランド法第29条の解釈

第3章 委譲された議会の持つ財政権
 第1節 スコットランド議会の持つ財政権限の変遷とその概要
 第2節 2016年スコットランド法の制定背景とその概要
 第3節 財政調整制度とバーネット方式の課題
 第4節 改革の方向性と課題に関する検討
 第5節 財政権委譲の進展に伴う諸問題

第4章 中央政府と委譲された政府との関係と調整の仕組み
 第1節 中央政府の機関と委譲された政府との関係
 第2節 合同閣僚委員会の役割と機能
 第3節 見直し後の政府間関係の制度

第5章 憲法上の地方自治規定の解釈と都道府県の位置付け
 第1節 「地方自治の本旨」と地方自治の本質の意味をめぐる議論
 第2節 都道府県の憲法上の位置付け

第6章 都道府県の行政運営上の権能、役割と道州制の動向
 第1節 行政実務上の都道府県の権能、役割
 第2節 道州制をめぐる議論の状況
 第3節 第28次地方制度調査会答申における道州制の内容

第7章 地方分権改革と地方自治体の権能、国との関係
 第1節 国と地方の役割分担について
 第2節 自治立法権について
 第3節 自治財政権について
 第4節 国と地方の関係について

第8章 道州の持つべき権能についての検討
 第1節 目指すべき道州制の方向性
 第2節 国と道州の役割分担について
 第3節 自治立法権について
 第4節 自治財政権について
 第5節 国と道州の関係について
 第6節 憲法改正以外の制度保障のための方策

第9章 住民自治の視点から道州制を考える
 第1節 道州制に関しての「住民自治」の視点からの議論
 第2節 現行の都道府県における「住民自治」の状況
 第3節 地方自治における規模と距離の議論
 第4節 広域自治体における「住民自治」活性化の方策
 第5節 今後の要検討事項

むすびにかえて
初出一覧
索  引

著者略歴

著:今井 良幸
今井 良幸(いまい よしゆき)
1974年、三重県に生まれる。1996年、立命館大学法学部卒業。2009年、名城大学大学院法学研究科博士後期課程修了 博士(法学)。(1996~2011年 三重県職員)。2011年、岐阜経済大学(現岐阜協立大学)経済学部専任講師、同准教授。2015年、中京大学総合政策学部准教授。2022年、中京大学総合政策学部教授。主要業績:「国会請願の現状と課題」小山剛・伊川正樹・渡邊亙編『立憲国家の制度と展開:網中政機先生喜寿記念』(尚学社、2021年)、「英国のレファレンダムにおける投票運動規制:その現状とインターネット上の投票運動への導入に向けた動向」『レファレンス』852号(2021年)、「イギリスにおける地方自治の制度とその特徴:不均一さと可変性」『比較憲法学研究』32号(2020年)、「イギリスにおけるレファレンダム(referendum)に関する一考察:これまでの動向と今日的課題」『比較憲法学研究』24号(2012年)、ほか。

ISBN:9784326303274
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:272ページ
定価:4500円(本体)
発行年月日:2023年03月
発売日:2023年03月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPT