命か経済か
COVID-19と政府の役割
編:岩崎 正洋
内容紹介
コロナ禍において、世界は、そして日本はどのように対応したか。COVID-19が引き起こした政治や経済、公共政策の変容に迫る。
本書は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が世界的にみられる現状を受け、主に2020年から2021年までの期間に注目し、世界が同時に経験した未曽有のパンデミックを、政治学、比較政治学、行政学、国際政治学、経済学、経営学など、多様な学問分野の専門家が社会科学の研究対象としてどのように捉えたのかについてまとめる。
目次
はしがき
第一部 世界の状況
第1章 コロナ禍のドイツ──危機管理における政治的リーダーシップ[西岡晋]
1.序 論
2.新型コロナ対策のジレンマと政治的成功
3.嵐の前の静けさ?──パンデミック前夜のドイツ
4.舵取りはメルケルの手に──コロナ禍に飲み込まれるドイツ
5.ロックダウンの敢行──巣ごもり生活の忍従と憩い
6.結びに代えて
第2章 英国におけるCOVID-19に対する経済政策および社会政策の効果──移譲された合意なのか?[ショーン・ヴィンセント(福森憲一郎 訳)]
1.問題提起
2.英国の福祉国家の発展
3.COVID-19政策と権限移譲
4.「大きな」国家としての英国
第3章 ブラジル──コロナ危機の構図と政策のトリレンマ[舛方周一郎]
1.コロナ危機下のボルソナーロ政権の運営を振りかえる
2.グローバルな感染症とブラジル政府の対応
3.感染の第一の波と混乱した対応
4.感染の第二の波と経験を活かした対応
5.「命か経済か」の選択──政治、経済、公共政策の変容
6.結びに代えて──コロナ危機における政策のトリレンマ
第4章 トルコにおけるCOVID-19の流行と政治的課題の顕在化[岩坂将充]
1.トルコにおけるCOVID-19
2.COVID-19の流行とエルドアン・AKP政権の政策
3.政策への国民の評価と不信・不安の増大
4.エルドアン・AKP政権と野党勢力における変化および課題の顕在化
5.顕在化した政治的課題と今後の展望
第5章 国境をめぐる命と経済のジレンマ──往来制限は正しい感染症対策なのか[小松志朗]
1.2人の怒れる大統領たち
2.往来制限の大流行
3.グローバル化を止めるな
4.科学と政治のギャップ
5.次はどうする?
第6章 COVID-19拡大下における貿易政策──貿易措置と政治体制の関係[羽田翔]
1.COVID-19と国際貿易
2.COVID-19感染拡大期における貿易措置
3.パンデミックと自由貿易体制
第二部 日本国内の状況
第7章 COVID-19パンデミック下の政府による規制と市民の態度[野田遊]
1.規制に対する市民の態度は何が決めるのか
2.パンデミック下の政府による規制
3.規制に対する市民の態度の要因
4.データの収集と方法
5.規制に対する市民の態度の検証
6.不確実性下の自立した市民と政府
第8章 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とソーシャル・キャピタル──東京都を対象としたインターネット調査による検討[立福家徳]
1.パンデミックと東京
2.ソーシャル・キャピタル──心の外部性
3.インターネット調査の概要
4.COVID-19とソーシャル・キャピタル
5.パンデミック終息後のソーシャル・キャピタル
第9章 COVID-19による日本社会の変容と企業の持続可能な発展[鈴木貴大]
1.ステイクホルダーとの「協働」とSDGs
2.日本におけるCOVID-19の影響と社会の変容
3.COVID-19により表面化した諸問題に対する企業の取り組み
4.アフター・コロナの社会に向けた経営学的視座
第10章 COVID-19パンデミックから市民育成を探究する[松田憲忠]
1.COVID-19パンデミックからの社会的意思決定への挑戦
2.COVID-19パンデミックからの規範的市民像の析出
3.COVID-19パンデミックからの主権者教育への期待
4.COVID-19パンデミックからの主権者教育の展望
終 章 命と経済のいずれを優先するのか、その二者択一は可能なのか[岩崎正洋]
1.何が問題か
2.国家と個人
3.国家の要請と個人の自粛
4.二者択一か、両立か
人名索引
事項索引
ISBN:9784326303229
。出版社:勁草書房
。判型:A5
。ページ数:212ページ
。定価:3200円(本体)
。発行年月日:2023年02月
。発売日:2023年02月13日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MBN。