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議会制民主主義の揺らぎ

編:岩崎 正洋
企画・原案:日本大学法学部政経研究所

紙版

内容紹介

現在の議会制民主主義はどのような状況にあり、その揺らぎによってみえてきたものは何か。政治的リーダーシップの重要性を論じる。

現在の先進工業諸国は、投票率の低下、無党派層の増加、政党の衰退、議会の地位低下と行政府の肥大化、グローバル化と国家機能の変容、大統領制化、ポピュリズムなど、議会制民主主義の問題を共有している。その要因と問題を解決するための制度的方法や政策的方法について、ヨーロッパ諸国と日本の多角的比較を通じて明らかにする。

目次

はしがき

序 章 議会制民主主義の揺らぎ[岩崎正洋]
 1 議会制民主主義の現在
 2 議会制民主主義をめぐる理論の変容
 3 政治的リーダーシップの重要性
 4 本書の構成

第1章 政治の個人化と大統領制化[荒井祐介]
 1 大統領制化論への批判
 2 政治の個人化とは何か
 3 大統領制化とは何か
 4 政治の個人化と大統領制化の関係性

第2章 フランス政党制の変遷の中でのマクロン現象[佐川泰弘]
 1 フランスの政党制を規定するもの
 2 政党と政党制がたどってきた道筋①――「二極化したカドリーユ」へ
 3 政党と政党制がたどってきた道筋②――二大政党制化とその凋落
 4 マクロン現象――多党制への回帰?
 5 政党制の変遷の背景にあるもの――フランスの政党制はどこへ向かうか

第3章 失敗の10年――2010-2020年における日本とイギリスの野党[ショーン・ヴィンセント(岩崎正洋訳)]
 1 日本とイギリスの野党を比較するために
 2 一党優位政党制への回帰
 3 野党のリーダーシップの失敗
 4 政 策
 5 社会との結びつき
 6 議論――野党復活のモデル

第4章 自民党における総裁選出過程の変容[浅井直哉]
 1 「強いリーダー」の選出
 2 党首選出過程の大統領制化
 3 総裁選出過程の変容
 4 総裁選の転換期――1995年
 5 脱派閥主導型の総裁選――1996-1998年
 6 開放型の総裁選への移行
 7 「強い総裁」の現出

第5章 「遅れてきた民主主義」の動揺[武藤 祥]
 1 40年後の倦怠――イベリア両国の民主主義の危機
 2 戦後民主主義の「経年劣化」?
 3 新生民主主義における課題
 4 新生民主主義の黄金期――政治的安定とヨーロッパ化
 5 金融危機後の政党システムの変容
 6 地域主義という亡霊?――カタルーニャ独立問題の展開
 7 アフターコロナは民主主義を救えるか

第6章 民主主義の後退と政治の「大統領制化」の射程――トルコの事例から[岩坂将充]
 1 政治の「大統領制化」の議論とトルコ
 2 政治の「大統領制化」の議論が想定するもの
 3 トルコの民主主義をめぐる状況
 4 2018年総選挙・大統領選挙以降のトルコにおける政治の「大統領制化」
 5 政治の「大統領制化」と権力集中

第7章 西欧における政治とメディアの関係構築――議会制民主主義の問題として捉えなおす試み[新川匠郎]
 1 政治とメディアの関係
 2 メディアシステム比較の研究発展
 3 政治制度による説明
 4 質的比較分析(QCA)によるパターン特定
 5 政治とメディアの多様な関係
 補 遺

第8章 リーダーによる政治か,それとも政党政治か――世界における政治の大統領制化[トーマス・ポグントケ(岩崎正洋訳)]
 1 大統領制化という概念
 2 ポピュリズム
 3 大統領制化と個人化
 4 政治的帰結
 5 ポピュリズムとの交差点
 6 ポピュリズムと二極化した政治
 7 この先には何があるのか

人名索引
事項索引
執筆者紹介

著者略歴

編:岩崎 正洋
岩崎 正洋(いわさき まさひろ)

日本大学法学部教授。東海大学大学院政治学研究科博士課程後期修了。博士(政治学)。著書に『比較政治学入門』(勁草書房、2015)、『日本政治とカウンター・デモクラシー』(共編著、勁草書房、2017)、『議会制民主主義の揺らぎ』(編著、勁草書房、2021)、『ポスト・グローバル化と政治のゆくえ』(編著、ナカニシヤ出版、2022)、『命か経済か』(編著、勁草書房、2023)ほか。

ISBN:9784326303007
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:224ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2021年03月
発売日:2021年03月31日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPH