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自衛隊海外派遣の起源

著:加藤 博章

紙版

内容紹介

戦後日本の根幹を変える政策は、いつ、どのように始まったのか? 知られざる議論の水脈をたどり、政府内の検討を克明に描き出す。

自衛隊の海外派遣は1991年に初めて実現し、いまや当たり前の政策となっているが、それは突然出てきたものではない。終戦直後からさまざまな形で検討され、その議論の積み重ねが現在の政策の下地となっているのである。日本政府が何を達成し、どのような限界に直面してきたのか、資料を駆使して実証的に写しだす。

目次

序章 自衛隊海外派遣はどのように始まったのか
 1.問題意識
 2.先行研究の整理
 3.史料の扱い
 4.研究の視角
 5.本書の構成

第1章 アジア・太平洋戦争の終結と海外派兵禁止の固定化─1945‐1960年─
 はじめに
 1.自衛隊の創設と海外派兵禁止決議
 2.鳩山政権の安保改定交渉と海外派兵
 3.岸政権のレバノン監視団要員派遣問題と安保改定
 おわりに

第2章 冷戦変容期における役割の模索─1970年代,総合安全保障と日米安保の深化─
 はじめに
 1.池田政権期の政治情勢と青年海外協力隊の創設
 2.日本の外交・安全保障政策転換─久保構想と総合安全保障戦略
 3.新冷戦と日米防衛協力の深化
 おわりに

第3章 国際貢献意識の萌芽と人的貢献の模索─1980年代,インドシナ難民と国際緊急援助活動─
 はじめに
 1.インドシナ難民と国際貢献意識の芽生え
 2.カンボジア難民問題と国際緊急援助の開始
 3.国際緊急援助隊の発足
 おわりに

第4章 自衛隊海外派遣の模索─1987年,ペルシャ湾安全航行問題─
 はじめに
 1.イラン・イラク戦争と日米関係
 2.掃海艇派遣の模索と挫折
 3.ペルシャ湾安全航行問題の帰結
 おわりに

第5章 自衛隊海外派遣に向けた胎動─1990年,湾岸危機と日本─
 はじめに
 1.冷戦の終焉と日本の国内政治の変容
 2.湾岸危機に対する日本政府の支援策策定と米国の反応
 3.国連平和協力法の挫折
 おわりに

第6章 自衛隊海外派遣の開始─1991年,ペルシャ湾掃海艇派遣を中心に─
 はじめに
 1.湾岸戦争の勃発と追加支援決定
 2.掃海艇派遣案の浮上
 3.ペルシャ湾掃海艇派遣の実現
 おわりに

第7章 自衛隊海外派遣の拡大─1992年,PKO協力法の制定と国際緊急援助隊法改正─
 はじめに
 1.ペルシャ湾掃海艇派遣の成功と自衛隊海外派遣論議に対する影響
 2.自衛隊海外派遣の国際平和維持活動への拡大
 3.自衛隊海外派遣の国際緊急援助活動への拡大
 おわりに

終章 かくして,自衛隊は海外に派遣された

あとがき
主要参考文献
事項索引
人名索引

著者略歴

著:加藤 博章
加藤 博章(かとう ひろあき) 
名古屋大学大学院環境学研究科単位取得満期退学、同大学で博士(法学)を取得。日本学術振興会特別研究員(DC2)、ロンドン大学キングスカレッジ戦争研究学部客員研究員、東京福祉大学留学生教育センター特任講師などを経て、現在:日本戦略研究フォーラム主任研究員、防衛大学校総合安全保障研究科兼任講師、関西学院大学国際学部兼任講師。専門は国際関係論、日本の外交・安全保障政策。主著:『あらためて学ぶ 日本と世界の現在地』(千倉書房、2019年、共編著)、『元国連事務次長 法眼健作回顧録』(吉田書店、2015年、共編著)、『戦後70年を越えて ドイツの選択・日本の関与』(一藝社、2016年、共著)など。

ISBN:9784326302925
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:248ページ
定価:4200円(本体)
発行年月日:2020年08月
発売日:2020年08月29日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JW