軍事組織の知的イノベーション
ドクトリンと作戦術の創造力
著:北川 敬三
内容紹介
軍事組織は大きな問題に直面したとき、その解決方法をどのように生み出していったのか。その知られざる知的創造力を描き出す。
軍事組織は時代の変化、環境の変化、そして敵の変化に直面しており、さまざまな問題を解決しなければならない。そのための方法論をどうすれば生み出し、そして定着させることができるのか。米英日を事例として、戦争の術と科学の発展過程を分析し、軍事組織の高等教育、そして作戦術の発展過程を解明した著者渾身の博士論文を書籍化。
目次
序章 軍事組織における知の創出
プロローグ
1 本書の問題意識──軍事組織における知的態度と方法論
2 概念の整理──アートとサイエンス,理論とドクトリン
3 本書の目的
4 本書の構成と各章のポイント
第Ⅰ部 近代軍事組織の知的イノベーション
第1章 米国海軍とネイバル・アカデミズム──19世紀から20世紀へ
はじめに──近代軍事組織における知のあり方
1 南北戦争後の米国と海軍
2 改革運動の背景とルース
3 プロフェッショナル化への道
4 制度的展開──米国海軍大学校,海軍情報部,海軍作戦本部の創設
まとめ──「ネイバル・アカデミズム」の意義
第2章 日本海軍と海軍大学校の挑戦──明治期
はじめに──明治期日本海軍の方法論
1 日本海軍のキャッチアップ
2 海軍大学校の改革
3 「戦争の術と科学」へ
まとめ──明治期日本海軍の方法論
第3章 知的変革のできなかった日本海軍──大正・昭和期
はじめに──日本海軍の思考過程と限界
1 日本海軍における意思決定過程
2 日本海軍の知的準備──大東亜戦争開戦前
3 戦争を理解できなかった日本海軍
まとめ──大正・昭和期における「状況判断」の変遷
第4章 到達点と出発点──敗戦から海上自衛隊黎明期へ
はじめに──日本海軍の到達点と海上自衛隊の出発点
1 日本海軍の戦訓研究
2 海上防衛力再建研究における用兵・兵術の捉え方
3 海上自衛隊のキャッチアップ
まとめ──日本海軍の到達点と海上自衛隊の出発点
第Ⅱ部 現代の軍事組織と知的イノベーション
第5章 作戦術が変え続ける軍事組織
はじめに──軍事組織に必要なアート
1 作戦術発展の背景
2 「作戦術」が軍事・安全保障に与えた影響
まとめ──「作戦術」とドクトリンの往還
第6章 甦る米国陸軍と「作戦術」中心の知的組織への挑戦
はじめに──軍事組織の再建と方法論
1 米軍再建の原点──予想された窮状と誤った自信
2 訓練・ドクトリン軍とデピュイの挑戦──1970年代と「戦術レベル」の改革
3 先導者としての訓練・ドクトリン軍──1980年代と「作戦レベル」の改革
おわりに──米国陸軍の挑戦:「作戦術」の導入とドクトリン形成
第7章 作戦術が強化した同盟関係──英国の挑戦
はじめに──軍事組織における方法論の普遍的価値
1 英軍の伝統的な知的態度
2 1980年代の英軍の動向──バグネルの改革
3 ドクトリンの影響──知的組織としての英軍
おわりに──英軍と方法論:「作戦術」の受容とドクトリン形成
終章 軍事組織と問題解決の方法論
1 日本海軍になぜ方法論が根付かなかったのか
2 軍事組織における新たな知の創造
3 総括
あとがき──謝辞と単著に至る航路
参考文献一覧
事項索引
人名索引
ISBN:9784326302871
。出版社:勁草書房
。判型:A5
。ページ数:256ページ
。定価:4000円(本体)
。発行年月日:2020年03月
。発売日:2020年03月26日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JW。