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保護する責任

変容する主権と人道の国際規範

著:政所 大輔

紙版

内容紹介

深刻な人道危機が起こった時、主権と人権をめぐる考え方はどう変わったのか? 「保護する責任」が国際社会に広がる過程を写し出す。

冷戦終結後、ジェノサイドなどの人道危機が相次いで起きた。そこで登場したのが、市民の保護を国家と国際社会に求める「保護する責任」である。人権を守るために国家主権の再定義をめざす保護する責任は、どのようにつくられ、国家や国連、NGO等にどのように広がっていったのか。コンストラクティヴィズムで実証的に描き出す。

目次

序章 規範としての保護する責任
 1 問題の所在
 2 先行研究の検討と本書の目的
 3 本書の意義と構成

第1章 規範の動態をめぐる国際政治
 1 国際関係論における規範
 2 規範の複合性と変化
 3 規範の動態の説明枠組み

第2章 保護する責任はどのようにして誕生したのか
 1 革命的な事件と社会通念の変化 ― 規範的環境の醸成
 2 規範起業家としてのICISSと規範的アイディアの作成
 3 ICISS最終報告書の検討

第3章 保護する責任はなぜ国連で取り上げられるようになったのか
 1 カナダ政府による説得活動とその失敗
 2 国連改革をめぐる動きと国連事務総長の戦略
 3 2005年世界サミット成果文書への文言挿入をめぐる交渉

第4章 保護する責任は国連においてどのように主流化してきたのか
 1 保護する責任に対する加盟国の反発
 2 国連総会テーマ別討論の開催と総会決議の採択
 3 保護する責任の諸側面に関する事務総長報告と非公式相互対話
 4 新たな総会決議の模索と総会公式討論

第5章 保護する責任はどのように実施されつつあるのか
 1 保護する責任の三つの柱 ― 国家の責任,国際支援,適時かつ断固とした対応
 2 リビア危機への適用
 3 シリア危機と国際社会の対応 ― 保護する責任の実施可能な範囲
 4 安保理決議と保護する責任

終章 国際政治のなかの保護する責任
 1 理論的な発見と示唆
 2 今後の課題と展望

参考文献
インタビュー・リスト
あとがき
事項索引
人名索引

著者略歴

著:政所 大輔
政所 大輔(まどころ だいすけ) 
1984年生まれ。2007年,大阪外国語大学外国語学部卒業。2015年,神戸大学大学院法学研究科博士課程後期課程修了,博士(政治学)を取得。神戸大学大学院法学研究科助教などを経て,現在: 日本学術振興会特別研究員。専門は国際関係論,国際機構論。主著: “International Commissions as Norm Entrepreneurs: Creating the Normative Idea of the Responsibility to Protect” (Review of International Studies 45-1, 2019), 「『保護する責任』規範の伝播――説得と交渉のメカニズム」(『国際政治』第187号,2017年),EU-Japan Security Cooperation: Trends and Prospects (Routledge, 2018, 共著) など。

ISBN:9784326302840
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:264ページ
定価:4000円(本体)
発行年月日:2020年01月
発売日:2020年01月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LB