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革命のインテリジェンス

ソ連の対外政治工作としての「影響力」工作

著:佐々木 太郎

紙版

内容紹介

ソ連の対外革命戦略のすがたとは? 本書は、影響力のある個人を使って標的国の世論や政策を秘密裡に誘導する政治工作、すなわち「影響力」工作を、ソ連が戦間期から1940年代半ばにかけて世界各地で展開していたことを明らかにする。ヴェノナ文書、ヴァシリエフ文書、MI5やFBIの捜査資料などを縦横に駆使した画期的研究。

目次

略号一覧

序章 「影響力」工作とは何か?
 1 本書の目的と意義
 2 先行研究
 3 使用する主な史料について
 4 本書の構成

第Ⅰ部 ソ連の「影響力」工作を分析するための理論的枠組みとその検討

第1章 冷戦時代におけるソ連の「積極工作」概念
 1 「積極工作」の目的
 2 「積極工作」の手法

第2章 冷戦時代におけるKGBの「影響力行使者」概念
 1 元KGB諜報官らの「影響力行使者」認識
 2 〝自覚的〟と〝無自覚的〟の違い

第3章 仮説としてのソ連の「影響力行使者」の諸要件
 1 レーニンの対外革命戦略の転換と「影響力行使者」の誕生
 2 〝影響力〟とは何か
 小括

第4章 仮説としてのソ連の「影響力行使者」の諸類型
 1 フーヴァーの五分類
 2 その他の諸類型
 3 若干の補足
 小括

第Ⅱ部 ソ連の「影響力」工作についての具体的検証

第5章 ソ連の「影響力行使者」としての宋慶齢
 1 “中国のジャンヌ・ダルク”の登場
 2 宋慶齢「影響力行使者」化構想
 3 画期としてのヌーラン事件
 4 スターリニストとしての宋慶齢
 5 宋慶齢とソ連保安情報機関
 小括

第6章 ソ連の「影響力行使者」としてのオットー・カッツ
 1 ミュンツェンベルクとの出会い
 2 カッツの訪英とドイツ救援委員会イギリス支部の設立
 3 『ブラウン・ブック』の制作と「対抗裁判」の実施
 4 カッツの影響力の性質
 5 アメリカにおけるカッツ
 6 カッツとソ連保安情報機関
 小括

第7章 ソ連保安情報機関の対米「影響力」工作の起源
 1 対アメリカ連邦議会工作の試み――グッツァイトとドッド兄妹
 2 対米メディア工作の試み――一九四〇年大統領選と『イン・ファクト』
 小括

第8章 アメリカ政府中枢における「影響力」工作
 1 「自発的影響力行使者」としてのダッガン
 2 シルバーマスターと仲間たち
 3 ホワイトと対ソ・ドル借款問題
 小括

結論 両大戦間期の経験とその継承

あとがき

参考文献一覧
人名索引
事項索引

著者略歴

著:佐々木 太郎
佐々木 太郎(ささき たろう) 
1980年生まれ。東京理科大学経営学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学。同大学院で博士(人間・環境学)を取得。専門は、国際政治学、インテリジェンス論、コミュニズム論。主著:『インテリジェンスの20世紀:情報史から見た国際政治』増補新装版(共著、千倉書房、2012年)、ジョン・アール・ヘインズ、ハーヴェイ・クレア『ヴェノナ:解読されたソ連の暗号とスパイ活動』(共訳、PHP研究所、2010年)。

ISBN:9784326302475
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:368ページ
定価:4500円(本体)
発行年月日:2016年02月
発売日:2016年02月23日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JW