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フロイトと教育

著:デボラ・P・ブリッツマン
監:下司 晶
監:須川 公央

紙版

内容紹介

フロイトの教育思想とその今日的意味とは何か。フロイト思想の全体像を提示しつつ、フロイトと教育の関係を根本から問い直す。

教育学者かつ精神分析家である著者は、教育者が自らの無意識を反復し、自らが子ども時代に受けた扱いを再現してしまう「『乱暴な』教育」の問題点を指摘し、教育を精神分析と同様、自らを知的対象として捉えることを提唱する。フロイトの著作全体からフロイト理論を再構成することにより、フロイトの教育思想の今日的意味を析出する。【原著】Deborah P. Britzman, Freud and Education(Routledge, 2010)

目次

はしがき

第一章 フロイト、精神分析、教育
 一 イントロダクション
 二 読者のための手引

第二章 フロイトの教育と私たちの教育
 一 ナラティブの権利
 二 メタサイコロジーとその変遷
 三 フロイトの臨床実践
 四 精神分析に対する異論や反論
 五 教授法
 六 フロイトの執筆様式
 七 なぜフロイトを読むのか
 八 私たちの教育

第三章 転移性の愛、あるいはマニュアル化の回避
 一 愛
 二 ナルシシズム
 三 技法についての論文
 四 転移という概念の系譜
 五 マニュアルを求める声
 六 技法上の問題にともなって生じる実存的課題
 七 テクニックからテクネーへ
 八 フロイトの教育体験を振り返る

第四章 集団心理学と愛の問題
 一 期待の心理学
 二 不気味なもの
 三 「現象の範囲」
 四 欲動
 五 「ヤマアラシたちの共棲」
 六 社会的な精神と原始群族
 七 「わき道」にて

第五章 未解決の問題としての「乱暴な」教育
 一 何が問題なのか
 二 心理的な意味の獲得
 三 遊び
 四 教育の威光
 五 寄る辺なさと幸福
 六 知の二原理
 七 不幸と攻撃性
 八 未解決の問題としての教育
 九 読解という問題


文献一覧
あとがき
用語解説
事項索引
人名索引

著者略歴

著:デボラ・P・ブリッツマン
デボラ・P・ブリッツマン(Deborah P. Britzman)
マサチューセッツ大学大学院修了。教育学博士(Ed.D.)。高校教師、ビンガムトン大学准教授等を経て、現在、カナダ王立協会フェロー、カナダ・トロントのヨーク大学特別研究教授、精神分析家。主著:The Very Thought of Education: Psychoanalysis and the Impossible Professions. SUNY Press, 2009.(ゲイリー・A・オルソン賞受賞)ほか。
監:下司 晶
下司 晶(げし あきら)
1971年生。中央大学文学部教授。専門は教育哲学・教育思想史、精神分析思想。中央大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(教育学)。教育哲学会理事、教育思想史学会理事。主著:『〈精神分析的子ども〉の誕生』(東京大学出版会、2006)、『教員養成を哲学する』(共編著、東信堂、2014)、『「甘え」と「自律」の教育学』(編著、世織書房、2015)、『教育思想のポストモダン』(勁草書房、2016)ほか。
監:須川 公央
須川 公央(すかわ きみひろ)
1975年生。白梅学園大学子ども学部准教授。教育哲学・教育人間学。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学。主著:『ケアと人間─心理・教育・宗教』(共著、ミネルヴァ書房、2013)、『「甘え」と「自律」の教育学』(共著、世織書房、2015)、『教員養成を問いなおす』(共編著、東洋館出版社、2016)ほか。

ISBN:9784326299355
出版社:勁草書房
判型:4-6
ページ数:288ページ
定価:2900円(本体)
発行年月日:2022年08月
発売日:2022年08月29日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MKM