出版社を探す

「次の一手」はどう決まるか

棋士の直観と脳科学

他著:中谷 裕教
他著:伊藤 毅志
他著:勝又 清和

紙版

内容紹介

盤面の状況を瞬時に把握し、先の先まで読んだかのような手を指す棋士たち。その背景にある人独自の直観的な思考のメカニズムとは、どのようなものなのだろうか。認知科学と人工知能の研究者による脳科学・認知科学研究、そしてプロ棋士自身によるコンピュータと人の対局分析を通じて、「次の一手」を生み出す思考の不思議を明らかに。

目次

第1章 思考の秘密を解く楽しみ
 1 盤上に広がる思考研究の世界
 2 「次の一手」を生み出す思考の不思議
 3 棋士の思考の特徴
 4 直観的判断の認知的メカニズム
 5 「見る」ことの認知的な特徴と直観との共通性
 6 直観的な思考に関する脳機能の仮説──小脳仮説
 7 将棋を題材にした脳研究への期待
 8 将棋思考プロセス研究プロジェクトの発足
 9 研究プロジェクトの準備と将棋会館での予備実験

第2章 「次の一手」を生み出す脳機能解明へのアプローチ
 1 将棋棋士の直観
 2 尾状核──直観的な指し手の案出に関わる脳部位
 3 楔前部──局面理解に関わる脳部位
 4 楔前部と尾状核──将棋棋士の直観の神経回路局
 5 駒の価値と役割──局面理解の手掛かり
 6 局面理解の脳内情報処理過程
 7 残された課題

第3章 将棋の認知科学的研究
 1 ゲーム情報学から見た将棋
 2 その他のゲームを題材とした認知研究
 3 将棋における局面の記憶研究
 4 将棋における次の一手実験
 5 コンピュータの思考と人間の思考
 6 将棋と囲碁の認知的な違いに関する研究
 7 十分に強くなったコンピュータ将棋の利用

第4章 棋士の視点から読む将棋研究
 1 将棋のルーツ
 2 「読み」と「大局観」
 3 プロ棋士の鍛錬方法
 4 羽生世代が何故強いのか?
 5 コンピュータ将棋
 6 完全情報ゲームにおける人間とAIの対決
 7 プロ棋士 VS. コンピュータ将棋
 8 コンピュータが将棋を変える
 9 プロ棋士の今後

第5章 コンピュータの夢
 1 なぜ今AIなのか
 2 AIは作れるのか
 3 AIと協調する未来
 4 最後に

第6章 ヒトを対象とした脳研究が向かう先
 1 振り返って
 2 マウスでなくヒトを研究対象とした脳研究
 3 将棋を対象にして、直観を働かせる脳の働きに関する研究への期待

索 引
執筆者紹介

著者略歴

他著:中谷 裕教
中谷 裕教(なかたに ひろのり)
1973年生まれ. 東北大学大学院工学研究科博士後期課程修了. 博士(工学). 東北大学大学院助手, 理化学研究所脳科学総合研究センター研究員, ERATO岡ノ谷情動情報プロジェクト研究員を経て, 現在は東京大学大学院総合文化研究科助教, 理化学研究所脳科学総合研究センター客員研究員. 著書に『将棋と脳科学:脳を知る・創る・守る・育む』(分担執筆, 2010, クバプロ)がある.
他著:伊藤 毅志
伊藤 毅志(いとう たけし)
1964年生まれ. 名古屋大学工学研究科博士後期課程修了. 工学博士(名古屋大学). 現在は電気通信大学大学院情報理工学研究科助教, デジタルハリウッド大学客員教授. 著書に『人間に勝つコンピュータ将棋の作り方』(共著, 2012, 技術評論社), 『コンピュータ将棋の進歩6:プロ棋士に並ぶ』(分担執筆, 2012, 共立出版), 『先を読む頭脳』(共著, 2006, 新潮社)等がある.
他著:勝又 清和
勝又 清和(かつまた きよかず)
1969年生まれ. 将棋棋士・六段. 東海大学理学部数学科卒業. 著書に『新手ポカ妙手選』(振り飛車編, 2013; 居飛車編, 2014, ともにマイナビ), 『実戦に役立つ詰め手筋』(2008, 毎日コミュニケーションズ)等がある.

ISBN:9784326299294
出版社:勁草書房
判型:4-6
ページ数:192ページ
定価:2500円(本体)
発行年月日:2018年04月
発売日:2018年05月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MB