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学歴獲得の不平等

親子の進路選択と社会階層

著:豊永 耕平

紙版

内容紹介

学歴の獲得に不平等が生じるのはなぜか。高校生とその母親を対象とした質問紙調査とインタビュー調査より、そのプロセスを解明する。

なぜ学歴獲得には出身階層や家庭成育環境による格差が発生するのか。本書は、進路選択をする行為主体として子どもだけでなく母親にも着目し、学歴獲得の不平等というマクロレベルでの現象が、親と子のどのようなミクロレベルでの行為から生じているのかを調査により分析。学歴獲得に階層差が発生する具体的なプロセスを解き明かす。

目次

まえがき

序 章 学歴獲得の不平等生成プロセスの解明
 1.学歴獲得の不平等とは何か?
 2.学歴獲得の階層差はどのように生じるのか?
 3.本書の課題と方法
 4.本書の構成

第Ⅰ部 学歴と不平等の諸相

第1章 高学歴化・経済変動と学歴
 1.高学歴化という視点から学歴間格差を眺める
 2.職業面からみた学歴間格差は変わったか?
 3.SSM調査から就業機会の学歴間格差を診断する
 4.上層ホワイトカラー入職と学歴効果の変容
 5.高学歴化・経済変動の「綱引き」と学歴間格差

第2章 学歴間賃金格差の構造と変容
 1.高学歴化という視点から賃金格差を眺める
 2.経済面からみた学歴間格差は変わったか?
 3.就業構造基本調査から賃金格差を診断する
 4.学歴間賃金格差とその変化の追加検証
 5.錯綜する既存研究の知見を解きほぐす
 補論:世帯レベルからみた学歴間格差とその変化

第3章 高等教育の大衆化と大学進学の不平等
 1.高学歴化という視点から学歴獲得を眺める
 2.学歴獲得に対する階層効果は変わったか?
 3.SSM調査から階層間格差を診断する
 4.学歴獲得に対する階層効果とその変化
 5.学歴獲得の不平等の「半分」と「もう半分」

第Ⅱ部 親と子の進路選択

第4章 大学進学の価値認識と親学歴
 1.学歴獲得の便益認知に階層差はあるのか?
 2.「親と子の進路選択に関する調査」の登場
 3.計量分析から便益認知にアプローチする
 4.質的分析から便益認知にアプローチする
 5.金銭的・非金銭的な便益認知と親学歴

第5章 親の教育期待・働きかけの階層差
 1.子どもの進路に親はどのように関わっているのか?
 2.教育期待と進路選択を架橋する
 3.計量分析から働きかけにアプローチする
 4.質的分析から働きかけにアプローチする
 5.職業先行型・学歴先行型の教育期待

第6章 子どもの進路選択プロセスの階層差
 1.子どもはどのように進路選択しているのか?
 2.高校生の進路選択と階層差を診断する
 3.計量分析から進路選択にアプローチする
 4.質的分析から進路選択にアプローチする
 5.高校間トラッキングと親のキャナリング

第7章 高卒後進路の費用負担と親学歴
 1.親子は費用負担をどのように見通しているのか?
 2.質的分析から費用負担にアプローチする
 3.計量分析から費用負担にアプローチする
 4.学歴階層からみた経済的な進学障壁

終 章 親子の進路選択と不平等
 1.本書が明らかにしてきた知見
 2.インプリケーション
 3.今後の展開に向けて

参考文献

付録(1) 調査票
付録(2) インタビュー項目

あとがき
人名索引
事項索引
初出一覧

著者略歴

著:豊永 耕平
豊永 耕平(とよなが こうへい)
1991年生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学(博士 教育学)。現在:立教大学社会学部・助教。専門は教育社会学,社会階層論。主論文:「出身大学の学校歴と専攻分野が初職に与える影響の男女比較分析──学校歴効果の限定性と専攻間トラッキング」『社会学評論』(日本社会学会,2018年)「高学歴化・経済変動と学歴──上層ホワイトカラー入職に対する学歴効果の変容」『教育社会学研究』(日本教育社会学会,2018年)。

ISBN:9784326251698
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:436ページ
定価:5400円(本体)
発行年月日:2023年02月
発売日:2023年02月16日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNA