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シリーズ統合的認知

注意

選択と統合

著:河原 純一郎
著:横澤 一彦

紙版

内容紹介

認知機能の基本をなす注意。100年以上にわたる心理学研究の蓄積の全体像を俯瞰し、注意とは何かを丹念に論じる、シリーズ第1巻。

注意は適応的に行動し、身の回りのものごとを認識するために欠かせない機能だが、その多面性のために定義が難しい。本書は注意を認知システムのバイアスとして捉え、さまざまな研究の結果を裏付けに解説する。注意研究を牽引してきた著者による、これから研究を始める人や、注意の基本的な性質を知りたい人にとって最適の一冊。

目次

はじめに

第1章 注意とは何か
 1.1 注意を定義する難しさ
 1.2 なぜ注意が必要か

第2章 空間的注意
 2.1 わかるプロセスと注意
 2.2 空間選択手段としての眼球運動
 2.3 空間的注意を測る
 2.4 2種類の空間的手がかり
 2.5 さまざまな空間的手がかり
 2.6 注意のスポットライト
 2.7 注意の解像度
 2.8 注意をズームレンズに喩える
 2.9 さらに柔軟な空間的注意の配置
 2.10 注意が向いたところでは何が起こっているか

第3章 特徴に基づく注意
 3.1 抜き打ちテスト法
 3.2 ブロック法
 3.3 状況依存的注意捕捉手続き
 3.4 特徴に基づく注意選択と神経活動
 3.5 物体に基づく選択
 3.6 選択するということは

第4章 視覚探索
 4.1 探索のしやすさを左右する要因
 4.2 探索関数
 4.3 特徴統合理論
 4.4 特徴統合理論の修正
 4.5 探索をサポートするメカニズム
 4.6 注意の停留時間
 4.7 探した位置で起こっていること

第5章 注意の制御
 5.1 注意制御に関わる神経基盤
 5.2 注意捕捉を調べる4つの手法
 5.3 ボトムアップ説とトップダウン説の論争のゆくえ
 5.4 注意の窓
 5.5 注意制御が効くまでの時間
 5.6 注意制御と記憶
 5.7 作業記憶との相互作用

第6章 注意選択の段階
 6.1 初期選択理論
 6.2 初期選択理論の修正
 6.3 後期選択理論
 6.4 初期選択理論と後期選択理論の検証
 6.5 注意の漏れとスリップ
 6.6 知覚負荷理論
 6.7 知覚負荷理論のその先に
 6.8 希釈理論
 6.9 注意容量配分の自動性
 6.10 分割注意と二重課題
 6.11 注意の容量理論
 6.12 課題切り替え
 6.13 注意の容量・資源と再回帰処理

第7章 見落としと無視
 7.1 変化の見落とし
 7.2 非注意による見落とし
 7.3 低出現頻度効果
 7.4 その他の見落とし現象
 7.5 空間無視
 7.6 見落としは防げるか?
 7.7 注意の裏側

おわりに
引用文献
索引

著者略歴

著:河原 純一郎
河原 純一郎(かわはら じゅんいちろう) 
広島大学大学院教育学研究科修了。博士 (心理学)(広島大学)。産業技術総合研究所主任研究員、中京大学教授などを経て、現在は北海道大学大学院文学研究科特任准教授。編著書に『心理学の実験倫理』(2010、勁草書房)、著書に『商品開発のための心理学』(2015、勁草書房、分担執筆)。
著:横澤 一彦
横澤 一彦(よこさわ かずひこ)

東京工業大学大学院総合理工学研究科修了。工学博士(東京工業大学)。ATR 視聴覚機構研究所主任研究員、東京大学生産技術研究所客員助教授、南カリフォルニア大学客員研究員、NTT基礎研究所主幹研究員、カリフォルニア大学バークレイ校客員研究員、東京大学大学院人文社会系研究科教授などを経て、現在は筑波学院大学教授、東京大学名誉教授。著書に『視覚科学』(2010、勁草書房)、『シリーズ統合的認知』(監修・執筆、全6巻、勁草書房)、『つじつまを合わせたがる脳』(2017、岩波書店)。

ISBN:9784326251087
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:356ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2015年12月
発売日:2015年12月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JMA