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アブダクション

仮説と発見の論理

著:米盛 裕二

紙版

内容紹介

知の巨人、パースの思想の根幹はここにある!科学的発見や創造的思考を生み出す推論とは一体どんなものなのかわかりやすく解説する。

記号の本質的な暖昧さを重視し、厳密でない推論に科学的発見の可能性を見たパース。演緯・帰納と並ぶ第三の推論として彼が提唱したのが、創造的発見を生み出す「アブダクション」である。人工知能やコンピュータサイエンスの研究者からも注目を集めるこの概念を丁寧に捉え直し、100年を経てなお新鮮なパース思想の真髄を明らかにする。

目次

まえがき

第一章 アブダクションと探究の論理学
 1 三つの推論と論理学
 2 パースの「探究の論理学」
 3 論理学とは何か
 4 規範科学としての論理学

第二章 分析的推論と拡張的推論
 1 分析的推論とは
 2 拡張的推論とは
 3 仮説の発見
 4 ケプラーの発見と遡及推論
 5 科学的想像力を支える推論

第三章 アブダクションの推論の形式と特質
 1 「説明仮説」の形成
 2 アブダクションの推論の形式と特質
 3 閃きと熟慮から成るアブダクション
 4 パースの進化論的思想

第四章 帰納とアブダクションはどのように違うのか
 1 二つの拡張的推論
 2 帰納とアブダクションの違い
 3 「帰納的飛躍」と「仮説的飛躍」
 4 パースによる四つの理由
 5 仮説の種類

第五章 科学的探究における帰納とアブダクション
 1 科学的探究の三つの段階
 2 「アブダクティブな観察」と「帰納的観察」
 3 仮説演繹法との違い
 4 パースの帰納の概念
 5 帰納の自己修正的な性質

第六章 帰納主義の考え方について
 1 仮説と帰納
 2 ベーコンの帰納法の考え方
 3 ミルの帰納法の考え方
 4 仮説が事実をつくる

第七章 W・ニールの「仮説的方法」
 1 「一次的帰納」と「二次的帰納」
 2 普遍的立言と単称的立言
 3 ニールの「仮説的方法」の難点
 4 アブダクションとニールの仮説的方法の違い
 5 一次的帰納と二次的帰納の確率

第八章 G・ポリアの「発見的推論」
 1 数学における発見
 2 発見的三段論法の考え方
 3 発見的三段論法とアブダクション

付 章
反デカルト主義的論考――言語の問題をめぐって
常識知について

索引

著者略歴

著:米盛 裕二
米盛裕二(よねもり ゆうじ)
1932年、沖縄県に生まれる。1955年、琉球大学卒業。1960年、オハイオ州立大学大学院博士課程修了、Ph.D.。1964-65年、ミシガン州立大学招聘教授。1972-73年、ハーバード大学哲学科客員研究員。琉球大学名誉教授。2008年没。著書『パースの記号学』(勁草書房、1981年)、『世紀末から新世紀末へ』(共著、筑摩書房、1990年)、『言語論的転回』(共著、岩波講座『現代思想』第4巻、岩波書店、1993年)ほか。訳書『現象学』(パース著作集1、勁草書房、1990年)ほか。

ISBN:9784326153930
出版社:勁草書房
判型:4-6
ページ数:276ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2007年09月
発売日:2007年09月21日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDTL