〈現在〉という謎
時間の空間化批判
編:森田 邦久
内容紹介
いまこの瞬間、私たちがありありと感じる「時間の流れ」は幻想にすぎないのか? 哲学者と物理学者が真正面から「現在」を論じ合う!
自然科学における時間は、私たちが感じる「ありありとした現在」を否定し、結果的に哲学者には時間を「空間化」しているように映る。時間や現在に対するそうした捉え方の違いはどこにあるのか。好評を博したシンポジウム「『現在』という謎」を軸に、物理学と哲学それぞれの立場からのコメントと応答も盛り込む、唯一無二の時間論集。
目次
はじめに[森田邦久]
第1章 物理学における時間――力学・熱力学・相対論・量子論の時間[谷村省吾]
コメント:物理学における時間と時間の形而上学[佐金武]
リプライ:物理学の概念を形而上学で塗り重ねてもすれ違いになるだけではないのか[谷村省吾]
第2章 時間の問題と現代物理[筒井泉]
コメント:時間の「逆行」とはどのような現象か?[小山虎]
リプライ:量子力学での因果関係と哲学的視点[筒井泉]
第3章 現代物理学における「いま」[細谷暁夫]
コメント:物理学者からの問題提起に答えて[小山虎]
リプライ:物理にも哲学にも伝わっていないこと[細谷暁夫]
第4章 客観的現在と心身相関の同時性[青山拓央]
コメント:哲学者に考えてもらいたいこと[谷村省吾]
リプライ:まず問いの共有を[青山拓央]
第5章 時間に「始まり」はあるか――哲学的探究[森田邦久]
コメント:物理学者が哲学者の時間論を読むとこうなる[谷村省吾]
リプライ:哲学者も物理学を無視しない――形而上学と物理学の関係性[森田邦久]
第6章 「スケールに固有」なものとしての時間経験と心の諸問題――ベルクソン〈意識の遅延テーゼ〉から[平井靖史]
第7章 非可逆的な時間は実在するのか?――ベルクソンとプリゴジンの時間論の検討[三宅岳史]
コメント:自然を判定の鑑とする物理学――第6章&第7章へのコメント[筒井泉]
リプライ:木には木の、森には森の描き方を[平井靖史]
リプライ:科学と哲学の間――モデル構成の必要性[三宅岳史]
第8章 時間論はなぜ「いま」の実在の問題となるのか――インド仏教の視点から[佐々木一憲]
コメント:「いま」という時からの眺め[佐金武]
リプライ:対岸からの視界[佐々木一憲]
あとがき[細谷暁夫]
索引
ISBN:9784326102778
。出版社:勁草書房
。判型:A5
。ページ数:320ページ
。定価:4200円(本体)
。発行年月日:2019年09月
。発売日:2019年09月28日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PH。