第1章 金融マトリックス総論
日銀が四半期ごとに公表/ストックとフローの金額の推計/調整金額/国内非金融部門/金融機関/海外
第2章 マトリックスの原理
1 【原理1】 誰かの金融資産は誰かの金融負債
金融資産・金融負債の合計額は一致/金融機関の機能/中央銀行の決済手段と金融負債サイドの株式・出資金/純金融資産額
2 【原理2】 決済手段が銀行の金融負債として供給・計上されている
経済主体の決済手段総額は変化しない/決済が銀行の金融負債で行われることのマトリックス上の意味
3 【原理3】 金融元本取引では資金過不足は発生しない
非金融元本取引では資金過不足が発生/部門内の取引は相殺
4 【原理4】 純金融資産の変化はフローの資金過不足と時価変動の合計
大きい時価変動の影響
5 【原理5】 外貨売買では海外・国内部門ともフローの資金過不足は発生しない
外貨売買も金融元本取引
6 【原理6】 経常黒字を超える円投は必ず円転者がいる
直物外貨ポジションの発生要因/対外資産負債残高との一致
7 一般銀行と日銀の資金調達構造・決済手段サイクル
流動性預金/流動性預金と日銀の決済手段との交換/日銀の決済手段/日銀預け金の総額は日銀がコントロール/資金市場が円滑に機能していない場合/サークルCとサークルBの量的関係
第3章 日銀預け金による国債の代替効果
日銀の負債の性質/日銀預け金増加の波及効果/日銀預け金の現状/短期市場金利の誘導方法に関する懸念/保有資産としての日銀預け金の性質/日銀預け金と国債の比較/日銀預け金は最強の調達手段
第4章 円投・円転とヘッジ付き円投・円転の採算構造
円投・円転構造の概念/銀行の役割/円投・円転の場所とマトリックス上の動き/対外資産・対外負債の増減/ヘッジ付き円投・円転の採算構造/ヘッジ付き円投の収益構造
第5章 マトリックスからみた国内経済の脆弱性
金融資産・負債構造の特徴と脆弱性/赤字部門から黒字部門への資金フロー/巨額の国債残高と超低金利/脆弱性その1―銀行収益への影響/対外投資へのシフト/脆弱性その2―外貨選好の高まりと外貨準備不足
第6章 LTCM vs. LTCB
LTCB危機顕在化でも円高に/1997年~1998年の内外金融情勢/国内金融危機時のマトリックスの動き/円キャリー・トレード対邦銀の為替ポジション/円投構成の脆弱性
第7章 新型コロナウイルス感染拡大の影響
非金融部門の金融負債が急増/非金融部門の資金調達フロー/家計・企業ともに現預金積上げ/国内銀行のドル調達動向
第8章 マネタリーベースゼロの世界とマネタリーベースだけの世界
新たな決済手段と暗号資産の登場/マネタリーベースがない世界とは/マネタリーベースゼロのシミュレーション結果/日銀預け金残高ゼロを維持する方法(クリアリングハウスモデル)/日銀預け金の廃止/クリアリングハウスモデルの一般型/マネタリーベースしかない世界(決済手段の供給は中央銀行のみが行う世界)/マネタリーベースのみのシミュレーション結果/決済手段に100%準備預金を課したケースのシミュレーション結果