第1章 コロナ危機の構図 星野 卓也
1 中国からアジア、欧州、そして米国へ
2 新型コロナウイルスがかくも厄介な理由
3 国ごとに分かれた外出規制のかたち
4 財政・金融政策は一気に危機モードへ
5 コロナ危機の特性分析―リーマン危機との比較などから
6 感染状況が回復の成否を決める「ウィズコロナ」の経済
第2章 SARSの教訓を活かせなかった中国 西濱 徹
1 なぜSARSに比べて被害が大きくなったのか
2 一転して都市封鎖に動いた当局の意図とその結果
3 感染対策の背後で加速する「デジタル・レーニン主義」
4 中国経済はV字回復を果たすことができるか
5 「ポストコロナ」の中国と世界経済の関係
第3章 コロナ危機で統合強化に向かう欧州 田中 理
1 なぜ欧州で爆発的な感染が起きたのか
2 感染封じ込めと各国の政策対応
3 危機で問われるEUの結束
4 最前線で危機対応にあたったECB
5 ブレグジット協議への余波
6 危機をバネに統合を強化する欧州
第4章 世界大恐慌以来の経済危機に直面する米国 桂畑 誠治
1 米国が世界最多の感染者、死者を出した背景
2 FRBの大規模金融・信用緩和策
3 米政府と議会による大規模な経済支援策
4 深刻な落込みからの回復力
5 コロナ危機に伸びる米IT産業
6 ウィズコロナ、ポストコロナでの米国経済のニューノーマル
第5章 グローバル化の波に飲み込まれた新興国 西濱 徹
1 中国依存があらためて浮き彫りになったアジア新興国への「第一波」
2 原油相場の暴落で産油国・資源国の脆弱性が露見
3 「強権」だけでは抑えることができないウイルスの怖さ
4 新興国に襲いかかる情け容赦ない国際金融市場の圧力
5 「ポストコロナ」も中国依存を強めざるをえない新興国
第6章 新型コロナウイルス禍の金融市場 桂畑 誠治
1 史上初のマイナス価格となった原油先物価格
2 短期間に急騰した株式市場と低水準にとどまる10年国債利回り
3 有事のドル需要の強まり
4 コロナ禍で金価格が最高値更新中
5 リーマンショック時と比べ市場の動揺は短期間で収まった
6 ドルの流動性供給のためのグローバルな枠組みが奏功
7 実体経済と株式市場のデカップリングは世界的な事象
8 コロナ禍でも新興国への資金フロー回復
9 FRBの新方針の各国への伝播
10 大規模金融緩和の出口戦略はかなりの時間が必要
11 ウィズコロナの金融市場は低金利と株高
12 ポストコロナの金融市場は政策変更がリスクに
第7章 揺れに揺れた日本の経済政策 星野 卓也
1 日本における政府のコロナ対応
2 甚大だった経済へのダメージ
3 大規模経済対策と噴出した問題点
4 雇用調整助成金はどこに問題があったのか
5 デジタル行政の遅れが効率的対策の実施を阻む
6 高まる「ジョブ型雇用」気運
7 広がらない裁量労働制の現状
8 「雇用を守る」は正義か
9 フリーランスのセーフティネットの弱さが露呈
10 コロナは10年後にどう振り返られるだろうか
第8章 コロナ危機後の世界 田中 理
1 危機後の回復の姿は?
2 中銀依存の罠に陥った世界経済
3 危機で浮き彫りとなる格差
4 グローバル化の逆流が始まる?
5 世界で失われる教育機会
6 社会変革で危機を乗り越える