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ルベーグ積分の基礎

著:日野 正訓

紙版

内容紹介

 本書は、ルベーグ積分の理論の基礎を詳解したものである。全体像を把握する助けとなるように、導入する概念や定義の意味合い、理論の根幹について、初学者にも配慮した丁寧な解説を行った。また、さまざまな例や演習問題によって理解を深める構成となっている。

 ルベーグ積分論は緻密に構築されており、全容を掴むのは容易でない。また、規定の理論展開を少し外れた際に主張が成立するかどうかを知るのがしばしば難しい。本書では、概念の導入や証明方法について吟味し、自然な流れで読み進めていけるように工夫を凝らした。さらに、理論の習得をサポートする補足説明や反例の紹介を充実させ、初読の際に理解を妨げそうな数学的記述などについても詳しい説明を付けることで学修の便を図った。あわせて、入門書の枠に留まらないようなやや発展的な注釈も各所に記載することで、深い理解に向けての一助とするだけでなく、ルベーグ積分論を既習の方にも新たな知見が得られるように意図している。

 ルベーグ積分論を初めて学ぶ人にとっても、他書で一通り学んだが改めて理論体系を俯瞰したい人にとっても適した一冊。

目次

第1章 序論
1.1 導入
1.2 ルベーグ積分とは

第2章 基礎事項の確認
2.1 集合に関わる事項
2.2 写像について
2.3 可算集合・非可算集合・濃度
2.4 距離と位相
2.5 ±∞について
2.6 スクリプト文字一覧

第3章 測度空間
3.1 可測空間と測度
3.2 いくつかの例
3.3 測度の性質

第4章 可測関数
4.1 可測性の定義と性質
4.2 単関数による近似

第5章 ルベーグ積分の定義と基本的性質
5.1 ルベーグ積分の定義
5.2 ルベーグ積分の基本的な性質
5.3 簡単な例
5.4 リーマン積分との関連(連続関数の場合)

第6章 収束定理
6.1 準備
6.2 収束定理
6.3 微分演算と積分演算の順序交換
6.4 適用例

第7章 測度の構成
7.1 構成の方針
7.2 有限加法的測度の構成
7.3 外測度から測度へ
7.4 ルベーグ測度の構成
7.5 測度空間の完備化
7.6 まとめ

第8章 ルベーグ測度
8.1 ルベーグ測度の性質
8.2 Rdのいろいろな部分集合
8.3 リーマン積分との関連(一般の場合)

第9章 直積測度とフビニの定理
9.1 直積測度空間
9.2 フビニの定理
9.3 ディンキン族定理

第10章 発展的な話題
10.1 符号付き測度
10.2 測度の正則性
10.3 いろいろな測度
10.4 正値線型汎関数の積分表現

補遺
A.1 第2.3節の命題の証明
A.2 集合族から生成されるσ-加法族について
A.3 行列の特異値分解
A.4 定理8.3.11の証明
問題の略解・ヒント

ISBN:9784320114999
出版社:共立出版
判型:A5
ページ数:216ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2023年10月
発売日:2023年10月04日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PBKL