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整数論体験入門

著:野口 和範

紙版

内容紹介

 本書で扱われている数学は証明を中心とするものである。高校までの数学では、実際の勉強の中身は計算主体であるといえるだろう。そこで、「公式や定理を証明し、それらが成立する理由、メカニズムを明らかにする」という本格的な数学の世界を、整数論を題材として体験してみようというのがこの本の主眼である。本書では、純粋数学だけでなく暗号理論に1章を割いて、RSA暗号の仕組みを解説している。図式を多く使い、特にハッセ図式を取り入れているが、このような記述をしている整数論の本はかなり珍しいと思われる。これは、文字の論理だけでなく、視覚的にも理解を進め、全体像を把握できるようにするためである。
 本書で必要な予備知識は中学レベルのものとなり、数学から離れていた文系の大学生や、高校生でも読み進めることができる。証明は各論理のステップを省略せずに記述し、それでも理解しにくいかと思われる部分には例を挙げ、理解を促すよう配慮している。また、より楽しく学べるよう、数学の歴史や、数学者の人物像、数学に関連する映画、小説、ドラマなどの話題も多く取り入れた。

目次

序文
謝辞
本書を読む際の取り決め

第1章 整数の基本性質
  1.1 整数のユークリッド性
  1.2 最小公倍数,最大公約数
第2章 一次不定方程式
  2.1 ユークリッドの互除法
  2.2 一次不定方程式の解法
第3章 素数の基本性質
  3.1 素因数分解と一意性
  3.2 素数の無限性
  3.3 数学の歴史
  3.4 特定の形の素数の無限性(4n-1; 6n-1)
第4章 合同式
  4.1 合同式とは
  4.2 等号=と合同≡の比較
  4.3 日常における合同式の例
  4.4 一次合同方程式
第5章 オイラー関数
  5.1 オイラー関数の定義
  5.2 定理5.3.1への準備
  5.3 オイラー関数の積への分解
第6章 フェルマーの小定理
  6.1 既約剰余系
  6.2 オイラーの定理・フェルマーの小定理
  6.3 高次のべきと合同式
  6.4 特定の形の素数の無限性(4n+1)
第7章 RSA暗号
  7.1 初歩的な暗号
  7.2 エニグマ
  7.3 RSA暗号
第8章 素数の発展的性質
  8.1 特定の形の素数の無限性(an+b)
  8.2 素数に関わる未解決問題
  8.3 アイゼンシュタインの判定法
  8.4 生物界における素数
演習問題解答
  A.1 第1章の解答
  A.2 第2章の解答
  A.3 第3章の解答
  A.4 第4章の解答
  A.5 第5章の解答
  A.6 第6章の解答
  A.7 第7章の解答
  A.8 第8章の解答

今後の学習について
参考文献
索引

ISBN:9784320114777
出版社:共立出版
判型:A5
ページ数:144ページ
定価:1700円(本体)
発行年月日:2022年07月
発売日:2022年07月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PBH