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入門 情報幾何

統計的モデルをひもとく微分幾何学

著:藤岡 敦

紙版

内容紹介

確率関数あるいは確率密度関数の集まりからなる統計的モデルのもつ自然な微分幾何学的構造を扱う。統計学に関して深入りをせずに、入門的な内容を解説している。数学的予備知識としては、微分積分、線形代数を前提としており、さらに測度論や多様体論、接続の微分幾何学といったものが必要となるが、それぞれの項目については丁寧に説明している。また,それらの基礎となる知識は,はじめにすべて述べてしまうのではなく、必要になったときに,その都度述べているため、使い方がわかりやすく,理解を諦めてしまうことのないように心がけている。

全体は7つの章からなる。第1章から第3章までは確率関数からなる統計的モデルに関する基礎的事項を扱う。特に、第2章ではフィッシャー計量について述べ、チェンツォフの定理を示す。また、第3章ではα-接続や接続の平坦性と関連して、e-接続やm-接続について述べる。第4章では確率密度関数からなる統計的モデルを扱う。第5章では統計的モデルの一般化である統計多様体を扱う。第6章では接続の微分幾何学に関連して、自己平行部分多様体について述べ、平坦アファイン接続に関する準備をした後、これらを指数型分布族あるいは混合型分布族とよばれる典型的な統計的モデルに対して応用する。第7章では双対平坦空間を定義し、ダイバージェンスについて述べた後、統計学の基本定理であるクラメル-ラオの不等式を示す。
本書を通して,機械学習や量子情報理論につながる,情報幾何の世界の扉を開いてほしい。

目次

第1章 確率関数からなる統計的モデル
1.1 ユークリッド空間
1.2 統計的モデル(その1)
1.3 期待値と分散
1.4 十分統計量

第2章 フィッシャー計量
2.1 リーマン計量
2.2 写像の微分
2.3 マルコフはめ込み
2.4 チェンツォフの定理(その1)
2.5 フィッシャー計量と単調性,不変性
2.6 チェンツォフの定理(その2)

第3章 α-接続
3.1 測地線
3.2 ベクトル場
3.3 レビ-チビタ接続
3.4 アファイン接続とα-接続
3.5 曲率とe-接続,m-接続

第4章 確率密度関数からなる統計的モデル
4.1 測度空間
4.2 可測関数と積分
4.3 統計的モデル(その2)
4.4 フィッシャー計量とα-接続

第5章 統計多様体
5.1 距離空間と位相空間
5.2 連続写像とハウスドルフ空間
5.3 多様体
5.4 接ベクトルと写像の微分
5.5 ベクトル場とアファイン接続
5.6 双対接続と統計多様体

第6章 指数型および混合型分布族
6.1 部分多様体
6.2 誘導接続と平行移動
6.3 自己平行部分多様体(その1)
6.4 可積分条件
6.5 平坦アファイン接続
6.6 自己平行部分多様体(その2)

第7章 双対平坦空間
7.1 双対平坦空間の定義
7.2 ダイバージェンス
7.3 クラメル-ラオの不等式

参考文献
索  引

ISBN:9784320114456
出版社:共立出版
判型:A5
ページ数:288ページ
定価:3300円(本体)
発行年月日:2021年04月
発売日:2021年04月29日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PBM