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統計学One Point 24

鞍点近似法

著:早川 毅

紙版

内容紹介

Daniels(1954)は、標本平均の密度関数および分布関数の近似に鞍点近似法を用いて、非常に高い精度で近似値が得られることを示し、統計学への鞍点近似法の有用性を切り開いた。その後、英国とデンマークの人々によって研究が発展していった。多変量正規母集団に基づく多変量解析の分布理論では、Zonal多項式を用いた超幾何関数によって各種統計量の積率や検定力関数が表示できるようになった。しかし、Zonal多項式の複雑さと級数和の収束が遅いことにより、数値計算が困難であった。そのようななか、Butler等(2002)による超幾何関数のLaplace近似という「ブレーク・スルー」により容易に数値計算ができるようになった。本書は、鞍点近似法とLaplace近似法の適応による多変量解析の分布理論の発展をまとめたものである。

目次

第1章 鞍点近似
1.1 はじめに
1.2 鞍点近似
  1.2.1 連続型確率変数
  1.2.2 離散型確率変数
1.3 分布関数
  1.3.1 分布関数(連続型確率変数)
  1.3.2 分布関数(離散型確率変数)
  1.3.3 数値例
  1.3.4 Temmeの公式
1.4 密度関数の分類

第2章 Laplace積分
2.1 Laplace積分(1次元の場合)
2.2 Laplace積分(m次元の場合)
2.3 逐次Laplace近似

第3章 多変量分布の鞍点近似
3.1 多変量分布の鞍点近似
3.2 条件付き密度関数
3.3 条件付き分布関数

第4章 指数分布族
4.1 正則指数分布族
4.2 正準十分統計量の分布関数
4.3 尤度比規準
  4.3.1 一般の場合の尤度比規準の分布
4.4 符号付き尤度比規準
  4.4.1 空間微分
  4.4.2 符号付き尤度比規準
4.5 正規化変換

第5章 超幾何関数のLaplace近似
5.1 Zonal多項式
5.2 超幾何関数
5.3 超幾何関数のLaplace近似
  5.3.1 Gauss型超幾何関数2F1(a,b;c;X)のLaplace近似
  5.3.2 合流型超幾何関数1F1(a;c;X)のLaplace近似
  5.3.3 Bessel型超幾何関数0F1(a;X)のLaplace近似

第6章 多変量解析
6.1 多次元データの広がり
6.2 Λ統計量
6.3 Bartlett-Nanda-Pillai統計量
6.4 Royの統計量

第7章 共分散に関する検定
7.1 共分散行列に関する尤度比規準
7.2 独立性の検定
7.3 球形検定

第8章 検出力関数
8.1 3例による検出力問題
8.2 統計量の積率母関数
8.3 較正されたLaplace近似
8.4 数値例

付録
A.1 expとlogの関係
A.2 Watsonの補題
A.3 Lagrange-Bürmannの反転公式
A.4 正規分布と関連する分布およびEinstein記号
  A.4.1 正規分布N(μ,σ2)
  A.4.2 ガンマ分布Ga(α,β)
  A.4.3 ベータ分布Be(α,β)
  A.4.4 Dirichlet分布Dir(α1,...,αm,αm+1)
  A.4.5 Einstein記号
A.5 ヤコビアン
A.6 分割行列とLöwnerの不等式
A.7 行列と行列式
A.8 行列変数の密度関数
A.9 パフィアンとΩ積分

あとがき
参考文献
索  引

ISBN:9784320112759
出版社:共立出版
判型:A5
ページ数:192ページ
定価:2300円(本体)
発行年月日:2023年11月
発売日:2023年11月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PBT