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コンシューマーニューロサイエンス

神経科学に基づく消費者理解とマーケティングリサーチ

編:Moran Cerf
編:Manuel Garcia-Garcia
訳:福島 誠

紙版

内容紹介

マーケティングの神様 フィリップ・コトラー博士推薦!
コンシューマーニューロサイエンスの現状とその基礎となる神経科学の手法について網羅的に解説した初の本格的な教科書
コンシューマーニューロサイエンス(消費者神経科学)は,神経科学に基づいたマーケティング調査の手法を扱う比較的新しい学問の分野である。近年,各国のグローバル企業などがこの新しい手法を取り入れてマーケティング調査を開始している一方で,調査会社によってその手法の細かい仕組みが明らかにされる機会はまだ少ない。本書ではその手法の科学的背景,関連する学問的枠組み,研究成果,倫理的課題などを基礎から詳細に説明することで,科学者とマーケティングリサーチャー,またサービスの利用者である企業関係者の間の理解のギャップを埋め,正しい理解を促すとともに,その利用,研究,教育の機会を広げることを目的とする。マーケティングの神様,フィリップ・コトラー博士による「刊行に寄せて」も掲載されている。
神経科学,心理学,認知科学などの知識は前提とされておらず,これら基礎的な解説も本書には含まれている。これらの分野についての知識を持たない読者でも学習しながら読み進められるだろう。
原著:Consumer Neuroscience, MIT Press, 2017.

目次

第1章 コンシューマーニューロサイエンス入門
1.1 はじめに
1.2 行動の中枢としての脳
1.3 意思決定の神経科学の歴史
1.4 消費者と広告調査の歴史:意思決定
1.5 コンシューマーニューロサイエンス
1.6 なぜコンシューマーニューロサイエンスなのか?
  1.6.1 コンシューマーニューロサイエンスの利点
  1.6.2 コンシューマーニューロサイエンスの限界
重要ポイント
演習問題
参考文献

第2章 脳の生理学と解剖学
2.1 はじめに
2.2 神経科学を用いた消費者行動の理解
  2.2.1 報酬と意思決定:消費者の購入決定過程を理解する
  2.2.2 感情:消費者を突き動かすものを理解する
  2.2.3 注意:競争から一歩抜け出す
  2.2.4 記憶:永続する印象を消費者に残す
2.3 [付録]脳領域の解説
  2.3.1 皮質領域
  2.3.2 皮質下領域
重要ポイント
演習問題
参考文献

第3章 感覚と知覚
3.1 刺激検出の測定
3.2 順応
3.3 視覚系
  3.3.1 刺激
  3.3.2 視覚系の解剖学
3.4 視覚情報の符号化と分析
  3.4.1 物体認識
  3.4.2 物体定位
  3.4.3 結び付け問題
3.5 聴覚系
  3.5.1 刺激
  3.5.2 聴覚系の解剖学
  3.5.3 聴覚情報の符号化と解析
3.6 嗅覚系
  3.6.1 刺激
  3.6.2 嗅覚系の解剖学
  3.6.3 嗅覚情報の符号化と分析
  3.6.4 嗅覚のマーケティングにおける利用
3.7 味覚系
  3.7.1 刺激
  3.7.2 味覚系の解剖学
  3.7.3 味覚情報の符号化と解析
重要ポイント
演習問題
参考文献

第4章 手法
4.1 どの手法を選択すべきか?
4.2 手法
  4.2.1 fMRI
  4.2.2 脳波
  4.2.3 顔面動作符号化システム(FACS)
  4.2.4 視線追跡
  4.2.5 陽電子放射断層撮影法(PET)
  4.2.6 生体信号を捉える他の技術
4.3 心理測定手法
  4.3.1 経頭蓋磁気刺激(TMS)
  4.3.2 潜在的連合テスト(IAT)
  4.3.3 電気生理学
4.4 [付録]神経科学研究のための定量分析
重要ポイント
演習問題
参考文献

第5章 注意
5.1 はじめに
5.2 トップダウン注意:意識的に駆動される目的志向の注意
5.3 ボトムアップ注意:注意のサリエンシーモデル
5.4 ボトムアップ注意に対する文脈の効果
5.5 低関与理論
5.6 視覚的サリエンスのバイアスとチェンジブラインドネス
5.7 脳における注意の測定
  5.7.1 視線追跡
  5.7.2 EEG
  5.7.3 バイオメトリクス
  5.7.4 脳イメージング
5.8 結論
重要ポイント
演習問題
参考文献
5.9 [付録]テレビコマーシャルの評価におけるEEGの利用:香水を宣伝する二つの異なるスタイル
参考文献

第6章 記憶
6.1 記憶を支える脳領域
  6.1.1 海馬
  6.1.2 新皮質表現領域
6.2 忘却と想起の手掛かりの重要性
6.3 潜在記憶と単純接触効果
6.4 長く続く記憶の形成を可能にする原則
  6.4.1 反復
  6.4.2 感情
  6.4.3 既存の記憶
6.5 記憶の計測
重要ポイント
演習問題:ケーススタディ
参考文献

第7章 感情
7.1 はじめに
7.2 感情とは何か?
7.3 感情はどのように作られるのか?
7.4 感情の生物学:脳はどうなっているのか?
7.5 感情の生物学:身体はどうなっているのか?
7.6 測定方法
7.7 感情はマーケティングにどのように影響をもたらすか?
7.8 マーケティングや売上とコンシューマーニューロサイエンスの指標の関係
重要ポイント
演習問題
参考文献

第8章 意思決定
8.1 はじめに
8.2 本当は誰が決定するのか?
  8.2.1 システム1の過程は脳が意思決定を導くための直接的な近道を提供する
  8.2.2 システム1の過程はシステム2の思考も形作る
  8.2.3 システム1は必要であれば覆されうる
  8.2.4 文脈によって異なるシステムが優位になる
8.3 いつ決定するのか?
8.4 どのような要因が意思決定に影響するのか?
  8.4.1 感情
  8.4.2 認知的負荷
  8.4.3 環境
  8.4.4 文化
  8.4.5 選択肢
  8.4.6 記憶
8.5 意思決定の数理モデル
8.6 マーケティングミックスモデルを改善するための意思決定の応用
  8.6.1 価格
  8.6.2 製品
  8.6.3 プロモーション
  8.6.4 流通
8.7 結論
重要ポイント
演習問題
参考文献

第9章 報酬系
9.1 報酬とは何か?
9.2 神経科学による報酬の評価はマーケターにどう役立つのか?
9.3 「欲しいと思う」と「気に入っている」
9.4 ドーパミンの役割
9.5 報酬予測と報酬体験:顧客ロイヤルティにとっての意味
9.6 未来
重要ポイント
演習問題
参考文献
9.7 [付録]神経美学:美学的に魅力のあるパッケージデザインの処理におけるドーパミン報酬の役割
参考文献

第10章 ブランドエクイティ
10.1 はじめに
10.2 ブランドエクイティを定義する
10.3 ブランド知識
  10.3.1 連合記憶ネットワークとしてのブランド知識
  10.3.2 ブランド知識:多重記憶システムの見方
  10.3.3 ブランド知識に関する多重記憶システム
10.4 顧客の反応:知識を行動に移す
  10.4.1 目的志向的意思決定vs.習慣的意思決定
10.5 結論
重要ポイント
演習問題
参考文献

第11章 価格
11.1 伝統的かつ非脳的アプローチ
  11.1.1 観察アプローチ
  11.1.2 調査アプローチ
  11.1.3 なぜニューロプライシングか?
11.2 価格認識の神経メカニズム
  11.2.1 製品認知
  11.2.2 価格認知
  11.2.3 製品の特徴としての価格の統合
  11.2.4 購入決定
11.3 ニューロプライシングを使用してゴルディロックス価格を見出す
11.4 ケーススタディ:ポテトチップスのパッケージの価格設定
  11.4.1 脳の信号をどのように計測するか?
  11.4.2 妥当性と検証
重要ポイント
演習問題
参考文献

第12章 ソーシャルマーケティング
12.1 ソーシャルマーケティングとコンシューマーニューロサイエンスによる,より良いマーケティングと社会の構築
12.2 ソーシャルマーケティングとは何か?
12.3 習慣性消費者行動の理解
  12.3.1 中毒的消費
12.4 機能するソーシャルマーケティングキャンペーンの創出
12.5 ソーシャルマーケティングの今後の方向性
重要ポイント
演習問題
参考文献

第13章 神経科学の知見をビジネス予測に使う
13.1 予測と不確実性
13.2 予測処理と脳
  13.2.1 予測誤差
  13.2.2 機械学習と予測
13.3 神経科学とマーケティングリサーチ
  13.3.1 fMRIと行動予測
  13.3.2 EEGを使用して消費者行動を予測する
13.4 脳とプロアクティビティ
13.5 コンシューマーニューロサイエンスを提供する会社は助けになるのか?
重要ポイント
演習問題
参考文献

第14章 マーケティング調査への応用
14.1 マーケティング調査の歴史
  14.1.1 「潜在意識」のマーケティングへの応用(初期):否定的な姿勢
  14.1.2 神経科学活用の障壁
  14.1.3 ディスカッション
14.2 初期の神経科学に基づく研究の影響
14.3 神経科学の現状
14.4 今日の市場調査と今後
  14.4.1 コンセプトテスト
  14.4.2 広告テスト
  14.4.3 パッケージテスト
  14.4.4 ブランドエクイティ調査
14.5 今後の調査者
重要ポイント
演習問題
参考文献

第15章 コンシューマーニューロサイエンスにおける倫理
15.1 はじめに
15.2 脳神経倫理学の歴史
  15.2.1 臨床研究における倫理ガイドライン規制
15.3 コンシューマーニューロサイエンスの現実:現場において倫理的に考慮すべき事項
  15.3.1 インフォームドコンセント
  15.3.2 プライバシー
  15.3.3 不適切な操作
15.4 倫理的研究のための規制ガイドライン
  15.4.1 医療保険の携行と責任に関する法律(HIPAA)
  15.4.2 制度審査委員会
  15.4.3 ベルモントレポート
  15.4.4 ニューロマーケティングサイエンス&ビジネス協会(NMSBA)
15.5 科学的妥当性についての懸念
  15.5.1 予測の正当性と限界
  15.5.2 世界規模での科学的厳密性
  15.5.3 逆推論のリスク
  15.5.4 集団除外
15.6 コンシューマーニューロサイエンスへの批判
  15.6.1 コマーシャルアラート
  15.6.2 フランスにおける脳機能イメージング法規則
15.7 市場調査のための神経科学に対する支援に関する議論
15.8 コンシューマーニューロサイエンス研究の未来への展望
重要ポイント
演習問題
参考文献

第16章 コンシューマーニューロサイエンスの将来
16.1 はじめに
16.2 研究の標準化
  16.2.1 行動とビジネス成果を繋げる
  16.2.2 信頼性
  16.2.3 将来のベンチマーク
16.3 コンシューマーニューロサイエンスの将来のツール
  16.3.1 スタンドオフ技術
  16.3.2 ウェアラブル
  16.3.3 仮想現実(バーチャルリアリティ)
16.4 五感すべてへのマーケティングと測定
  16.4.1 嗅覚
  16.4.2 味覚
  16.4.3 触覚
16.5 知識
  16.5.1 アカデミア
  16.5.2 商業領域
  16.5.3 古いものと新しいものを結び付ける
16.6 データ
16.7 結論
重要ポイント
演習問題
参考文献

訳者あとがき
執筆者一覧
索引

ISBN:9784320096462
出版社:共立出版
判型:A5
ページ数:440ページ
定価:6600円(本体)
発行年月日:2019年06月
発売日:2019年06月07日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KJS