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化学の要点シリーズ 22

固体触媒

編:日本化学会
著:内藤 周弌

紙版

内容紹介

 触媒は化学反応の速度や選択性の制御に不可欠な化学物質であり,なかでも「固体触媒」は,我々の日常生活に必要な工業製品の製造や地球規模での環境保全のための汚染物質の除去に重要な役割を果たしている。本書はこれからの持続可能社会の構築を目指して触媒化学を学ぼうとする理工系大学学部・大学院生や化学系企業研究者を対象に,固体触媒の入門書として執筆された。
 第1章では固体触媒の定義・種類・用途について,第2章では固体触媒の構造と触媒反応の相関について述べ,キャラクタリゼーションのための物理化学的手法,特に最新の表面分光法を概説されている。第3章では固体触媒の調製法をその原理から解き明かし,調製した触媒の活性試験法について,第4章では固体触媒の反応の場である表面で,反応物がいかに振る舞い生成物に変換されていくかを反応速度論の観点から述べ,それを踏まえて固体触媒のデザインのための要点がまとめられている。最後の第5章では固体触媒の利用として,化学工業やエネルギー・環境保全・バイオマス資源の有効利用など,21世紀の持続社会を担う新しい触媒の活躍の様子が紹介されている。
 化学の要点シリーズの最大の特徴である「コラム欄」には筆者とその共同研究者の最近の研究成果がトピックスとしてまとめられている。これらを通して“触媒研究の面白さ”を読者諸氏に伝えたいという著者の思いが伝わる内容である。

目次

第1章 固体触媒とその役割
1.1 触媒とは?
1.2 触媒の要素
1.3 触媒の種類とその分類
1.4 固体触媒の役割

第2章 固体触媒の構造と触媒反応
2.1 固体結晶構造と表面構造
2.2 固体触媒反応場の構造
2.3 固体触媒のキャラクタリゼーション

第3章 固体触媒の調製と評価
3.1 調製原理
3.2 種々の固体触媒調製法
3.3 触媒反応特性の評価
3.4 触媒活性試験

第4章 固体触媒反応の素過程と反応速度論
4.1 表面での素過程
4.2 表面の反応速度論
4.3 固体触媒反応機構
4.4 固体触媒のデザイン

第5章 固体触媒の利用
5.1 工業触媒
5.2 エネルギー関連触媒
5.3 環境保全触媒
5.4 石油代替炭素資源の有効利用触媒

コラム
1 シリカ担持 Ru触媒上に成長林立する長鎖の炭化水素鎖
2 逆ミセル法で調製した担持金属微粒子の安定性
3 水素エネルギー社会の実現を目指すナノ空間触媒
4 Pt/TiO2ナノチューブや Rh/TiOナノカプセル触媒上での CO―H2反応の活性点構造
5 SMSI状態のPd触媒によるCO―H2反応中のメタン生成活性点からメタノール生成活性点への変換プロセス

ISBN:9784320044647
出版社:共立出版
判型:B6
ページ数:144ページ
定価:1900円(本体)
発行年月日:2017年09月
発売日:2017年09月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PNR