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共立スマートセレクション 42

新たな種はどのようにできるのか?

生物多様性の起源をもとめて

著:山口 諒
解説:巌佐 庸

紙版

内容紹介

生き物に興味があるすべての人へ向けて、生物多様性の最も基本的な単位である「種」について、その基準や誕生のメカニズムを解説。

地球上には数えきれないほど豊かな生物種が生息している。現在見られる種は祖先種から分岐することによりその数を増やしており、このプロセスは種分化と呼ばれる。進化の中でどのように新種が誕生するのか? それにはどのくらいの時間がかかるのか? 同種と新種/別種の境目はどこにあるのか? 種分化しやすい分類群は存在するのか? これらに対する答えは、ダーウィン以来、生物多様性を考える多くの研究者が追い求めてきた。

本書では、フィールド調査・分類・理論モデルなどの様々な手法を用いてこの疑問に挑戦していく。また、種分化研究に関する最新の知見を紹介することで、地球の生物多様性がどのように形作られたか、さらに新種の誕生を私たちが目撃できるかについて触れる。

目次

1 種の多様性と分類学
1.1 生物多様性
1.2 スラウェシ島のチョウ
1.3 北海道のオオヨモギハムシ
1.4 Species Complex
1.5 種の境界はどこに?―分類学は何を見ているか―

2 生物の性質としての「種」
2.1 種概念と生殖隔離
2.2 生殖隔離の種類
2.3 種の違いを生殖隔離で量る
2.4 連続的な種分化プロセス

3 種分化のメカニズム
3.1 適応度の谷
3.2 中立突然変異と雑種不稔
3.3 2島モデル
3.4 曖昧な種の境界はどこか―種分化の転換点―

4 環境適応と種分化
4.1 進化を目撃する
4.2 生態的種分化
4.3 適応度地形理論
4.4 フラスコの中の種分化
4.5 突然変異順位種分化
4.6 種分化の不死鳥仮説

5 交雑帯
5.1 種分化後の二次的接触
5.2 クライン
5.3 生殖隔離の強化
5.4 生態的・生殖的形質置換
5.5 雑種種分化
5.6 交雑帯の進化・生態ダイナミクスは予測できるか

6 種分化サイクル
6.1 種分化サイクル:繰り返し起きる種分化
6.2 移住率と種分化率の単純ではない関係性
6.3 高い種多様性は種分化を促進するか
6.4 適応放散する種・しない種
6.5 種分化と絶滅のバランス
6.6 絶滅による種分化
6.7 固有種数のダイナミクス

7 種分化研究と系統樹
7.1 分子系統樹
7.2 生物系統地理学
7.3 ミクロ進化とマクロ進化
7.4 種分化研究のこれから

引用文献

あとがき

種分化―生物進化に残された最大の難問に迫る―(コーディネーター 巌佐 庸)

索引

ISBN:9784320009424
出版社:共立出版
判型:B6
ページ数:176ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2024年03月
発売日:2024年03月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PSAJ