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歴史の観念 新装版

著:R.G.コリングウッド
訳:小松 茂夫
訳:三浦 修

紙版

内容紹介

「自然の諸過程を単なる出来事の連続と述べることは正当だが、歴史の諸過程では、それが出来ない。歴史の諸過程は単なる出来事の諸過程ではなく行為の諸過程であり、この諸過程は内面を持ち、その内面は思考の諸過程によって成立する。歴史家が求めるものは、この思考の諸過程である。かくて、あらゆる歴史は思考の歴史である。だが、自身が発見せんとする思考を、歴史家はいかにして見分けるか? その可能な方法は唯一つ、つまり自身の心中でその思考を再思考することである」(本書より)

ヘロドトスからデカルト、ヘーゲル、クローチェ、トインビーらにいたる歴史観の変遷を踏まえながら、独自の歴史哲学を構想する名著

目次

【目次】
序論
 第一節 科学哲学
 第二節 歴史の性質・対象・方法・価値
 第三節 第一部から第四部までの問題

第一部 ギリシャ・ローマ修史
 第一節 神権政治的歴史と神話
 第二節 ヘロドトスによる科学的歴史の創始
 第三節 ギリシャ思想の反歴史的傾向
 第四節 歴史の性質と価値についてのギリシャ的考え方
 第五節 ギリシャの歴史研究法とその限界
 第六節 ヘロドトスとツキディデス
 第七節 ヘレニズムの時代
 第八節 ポリュビオス
 第九節 リヴィウスとタキトゥス
 第十節 ギリシャ・ローマ修史の特性 (1)人本主義
第十一節 ギリシャ・ローマ修史の特性 (2)実体論

第二部 キリスト教の影響
 第一節 キリスト教的観念の影響力
 第二節 キリスト教的修史の特性
 第三節 中世の修史
 第四節 ルネサンスの歴史家
 第五節 デカルト
 第六節 デカルト派の修史
 第七節 反デカルト学説 (1)ヴィ―コ
 第八節 反デカルト学説 (2)ロック、バークレー、ヒューム
 第九節 啓蒙活動
 第十節 人間的自然に関する学

第三部 科学的歴史の出発
 第一節 ロマン主義
 第二節 ヘルダー
 第三節 カント
 第四節 シラー
 第五節 フィヒテ
 第六節 シェリング
 第七節 ヘーゲル
 第八節 ヘーゲルとマルクス
 第九節 実証主義

第四部 科学的歴史
 第一節 イギリス
 第二節 ドイツ
 第三節 フランス
 第四節 イタリア

第五部 結論
 第一節 人間性と人間の歴史
 第二節 歴史的想像
 第三節 歴史的証拠
 第四節 過去の経験の追体験としての歴史
 第五節 歴史の主題
 第六節 歴史と自由
 第七節 歴史的思考が生む進歩

原注
編者解説
訳者あとがき
索引

著者略歴

著:R.G.コリングウッド
R. G. コリングウッド (R. G. Collingwood)
1889年生まれ。4歳でラテン語、6歳でギリシャ語を学んだ早熟の俊才で、1902年に名門ラグビー校に入学。ついでオックスフォード大学に学び、1935年から41年にかけて同大哲学教授。1943年逝去。その死は、「ニューヨーク・タイムズ」紙や「ネイチャー」誌で深く追悼された。著書に『ローマ征服下ブリテンの考古学的研究』(1930)、『芸術の原理』(1938)、『自伝』(1939)、『自然の理念』(1945)、『芸術哲学概論』(邦訳・紀伊國屋書店)などがある。
訳:小松 茂夫
小松茂夫(こまつ・しげお)
1921年京城(ソウル)に生まれる。1944年東京大学文学部哲学科卒業。学習院大学文学部哲学科教授(イギリス哲学)などを歴任。1980年逝去。著書に『権力と自由』(勁草書房)、『歴史と哲学との対話』(平凡社)ほか、訳書にヒューム『市民の国について』(岩波文庫)ほか、共訳書にクランストン『ジョン・ロック伝』(みすず書房)ほかがある。
訳:三浦 修
三浦修(みうら・おさむ)
1925年、東京に生まれる。早稲田大学大学院文学研究科修了。早稲田大学名誉教授。2013年逝去。著書に『囲碁の美学』(現代書林)ほか、訳者にコリングウッド『芸術哲学概論』(紀伊國屋書店)、デュポス『理性という名の怪物』、 『 フォード(世界偉人自伝全集 4)』(小峰書店)ほかがある。

ISBN:9784314011983
出版社:紀伊國屋書店
判型:A5
ページ数:412ページ
定価:4500円(本体)
発行年月日:2023年05月
発売日:2023年05月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHA