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改訂版 未払い残業代請求法律実務マニュアル

著:旬報法律事務所

紙版

内容紹介

労働者側弁護士の定本、待望の改訂版!
未払い残業代請求のための証拠収集や計算方法、書面の書き方までを明快に解説!

今回の改訂版では、働き方改革関連法をはじめとした近時の法改正、最新の判例・裁判例を反映。
ほか、テレワークと残業代の問題、働き方改革で加わった1カ月を超えるフレックスタイム制、高度プロフェッショナル制度など、新しい論点もカバーする実務家必携の1冊。

【改訂の主なポイント】
・働き方改革関連法案(平成30年法改正)に対応
・民法(債権法)改正に対応
・第2章(使用者側抗弁への反論)大幅加筆
・平成27年以降の判例・裁判例を多数収録

目次

第1章 事実関係の把握と残業代の計算
 
 1節  基本的な事実関係を把握する
   (1)事実関係の把握
   (2)実労働時間に行っている勤務の内容
   (3)就業規則等と労基法の比較
 2節  時間単価を算出する
   (1)残業代の算出方法
   (2)時間単価の算出方法
     ①労基法19条に基づく計算
     ②基礎賃金の対象となる賃金の振り分け
     ③所定労働時間数の算出
     ④時間単価の算出
   (3)計算にあたっての諸問題
     ①端数の処理
     ②1年の始期・終期と賃金の支給対象期間の関係
     ③就業規則で年・月の期間が規定されている場合
     ④就業規則などに所定休日の明確な規定がない場合
     ⑤途中入社の場合の1年間の始期と終期の関係
     ⑥出来高払いの場合
   (4)モデルケースの計算
     ①対象となる賃金の振り分け
     ②月平均所定労働時間数の算出
     ③時間単価の算出
 
 3節  実労働時間を確定させる
   (1)実労働時間の意味
   (2)法改正による影響
(3)実労働時間の立証
     ①タイムカード
     ②労働時間管理ソフト
     ③警備のための入退館記録
     ④パソコンのログイン・ログアウト時間
     ⑤電子メールの送信時刻
     ⑥SNS(ソーシャルネットワークサービス)の記録
⑦タコグラフ
     ⑧給与明細書
     ⑨開店・閉店時刻
     ⑩シフト表
     ⑪日報・週報等
     ⑫労働者のメモ
     ⑬証拠資料が一部期間ない場合
     ⑭証拠資料がない場合
   (3)実労働時間に当たるか問題となるケース
     ①準備作業・後始末作業時間
     ②待機時間
     ③仮眠時間(不活動時間)
     ④住み込みマンション管理人の労働時間
     ⑤移動時間
     ⑥出張
     ⑦持ち帰り残業・テレワーク(在宅労働)
     ⑧接待
     ⑨健康診断
     ⑩研修等
 
 4節  割増率等を把握する
   (1)法内残業、法外残業
     ①法内残業
     ②法外残業
   (2)法定休日、法定外休日
     ①法定休日
     ②法定外休日
   (3)深夜労働
   (4)割増率
     ①労基法上の割増率の一覧表
     ②具体的な計算方法
     ③60時間を超えて法外残業させた場合
   (5)割増計算の例外
     ①管理監督者、機密事務取扱者、農業等従事者、高度プロフェッショナル人材
     ②変形労働時間制
     ③フレックスタイム制
     ④みなし労働時間制
 5節  残業代を実際に計算する
   (1)モデルケースの残業時間の確定
     ①法内残業と法外残業の仕分け
     ②法外残業+深夜労働の計算
     ③週40時間超の計算
     ④法定休日の特定、法定休日労働の計算
     ⑤遅刻の計算(ⅰ)
     ⑥遅刻の計算(ⅱ)
     ⑦日をまたいで法定休日労働に突入したときの計算
     ⑧法定休日労働が日をまたいだ場合の計算
     ⑨労働が翌日の始業時間を超えても継続している場合の計算
     ⑩60時間超の計算
   (2)残業代の確定
 6節  訴状作成上の注意事項
   (1)管轄
     ①訴訟を提起する場合
     ②労働審判手続を選択する場合
     ③合意管轄
   (2)請求の趣旨を完成させる
     ①請求する期間
     ②付加金
     ③遅延損害金
     ④訴訟物の価額の算出方法
   (3)請求する期間の決定
   (4)遅延損害金
   (5)訴訟物の価額の算出
   (6)訴状の作成例


第2章 使用者側の抗弁への反論
 
 1節  非労働時間であるとの主張
   (1)「真面目に仕事していない」との主張
   (2)よくある主張の検討
①「命じていないのに勝手に残業をした」という主張
②「残業には申請が必要なのに申請していない」という主張
③「残業は許可制(承認制)だったのに許可(承認)を得ていない」という主張
④「残業は禁止していたんだ」という主張

 2節  固定残業代、各種手当、基本給に包含して支払い済みであるとの主張 
   (1)固定残業代(残業代の定額払い)とは~問題の所在
   (2)固定残業代をどうやって争うか
(3)そもそも労働契約内容となっているか?
(4)有効要件をめぐる争い
①判別可能性(明確区分性)
②対価性
(5)固定残業代が公序良俗違反とされる場合
(6)精算合意と精算実態
(7)固定残業代の形に応じた対処を  
 3節  年俸制なので、残業代は支払い済みであるとの主張
   (1)年俸制と残業代の関係
   (2)割増賃金の計算方法
 4節  残業代は歩合に含まれて支払い済みであるとの主張
   (1)問題の所在
   (2)判別可能性(明確区分)の問題
(3)賃金体系の分析の重要性
(4)国際自動車事件(第二次)
(5)企業ごとの賃金体験をよく分析すること
 5節  適用除外(管理監督者等)に当たるとの主張
   (1)適用除外に当たるという抗弁とは
     ①適用除外者と除外される規定
     ②41号各号該当者について
     ③高プロ適用者について
④適用除外者に対しても、労働時間把握義務はある
   (2)管理監督者に当たるという抗弁への対応
     ①「管理監督者」とは
     ②判断のポイント
     ③肯定した裁判例
     ⑥管理監督者の抗弁に対する主張立証のポイント
   (3)その他の適用除外者に当たるとの抗弁 
     ①農業等従事者
     ②機密事務取扱者
     ③監視・断続的労働従事者
     ④宿・日直勤務について
⑤高プロ適用者
 
 6節  変形労働時間制であるとの主張
   (1)変形労働時間制とは
   (2)変形労働時間制に対する主張・立証のポイント
   (3)1か月単位の変形労働時間制の要件
     ①労使協定等または就業規則その他これに準ずるもので下記②~④を定めること
     ②変形期間は1か月以内とし、起算日を定めること
     ③変形期間中、1週間あたりの所定労働時間を40時間以内とする
     ④期間中の労働日とその所定労働時間の特定
   (4)1年単位の変形労働時間制の要件
     ①労使協定等で下記②~⑤を定めること
     ②対象労働者の範囲を定めること
     ③対象期間(1年以内)及び起算点を定めること
     ④労働日と所定労働時間を特定すること
     ⑤有効期限を定めること
   (5)1週間単位の変形労働時間制の要件
     ①命令で定める事であること
     ②30人未満の事業規模であること
     ③労使協定等で、1週間の所定労働時間を40時間以内とすること
     ④労働者に対し、各日の労働時間を書面で通知すること
   (6)変形労働時間制の適用制限
     ①18歳未満の年少者
     ②妊産婦
     ③育児や介護等の配慮を要する者
   (7)変形労働時間制における残業代の計算方法
     ①変形労働時間制でも残業代は発生する
     ②法外残業
     ③法内残業
   (8)1か月変形労働時間制の具体的計算例
     ①法外残業
     ②法内残業
(9)変形労働時間制は無効だが祓うべきは割増し部分だけであるとの使用者の再反論について

 7節  フレックスタイム制であるとの主張 
   (1)フレックスタイム制とは
   (2)要件
     ①就業規則等で始業・終業時刻を各労働者に決定させること
     ②労使協定で③~⑤について定めること
     ③対象労働者の範囲を定めること
     ④清算期間と起算日を定めること
     ⑤清算期間において働くべき総所定労働時間を定めること
     ⑥標準となる1日の労働時間の長さを定めること
     ⑦コアタイムを定める場合には、開始時刻及び終了の時刻を定めること
     ⑧フレキシブルタイムに制限を設ける場合には、開始及び終了の時刻を定めること
   (3)フレックスタイム制における残業代の計算方法(清算期間が1か月を超えない場合)
     ①法外残業
     ②法内残業
     ③契約時間に不足があった場合
(4)フレックスタイム制における残業代の計算方法(清算期間が1か月を超える場合)
     ①法外残業
     ②法内残業
     ③具体的な計算

 8節  事業場外みなし労働時間制であるとの主張
   (1)みなし労働時間制は労基法の例外規定
   (2)事業場外みなし労働時間制の趣旨と要件
     ①趣旨
     ②要件
   (3)「労働時間を算定し難いとき」の判断要素
     ①使用者の事前の具体的指示
     ②労働者の事前の業務予定の報告
     ③事業場外労働の責任者の指定
     ④労働者の事後の業務内容の報告
     ⑤始業・終業時刻の指定
     ⑥事業場外労働の前後の出社
     ⑦携帯電話等での業務指示・業務報告
     ⑧業務内容等についての労働者の裁量
   (4)裁判例の傾向
   (5)事業場外みなし労働時間制の効果
 9節  裁量労働制であるとの主張
   (1)裁量労働制の類型と趣旨
   (2)専門業務型裁量労働制の要件・効果
     ①対象業務
     ②労使協定の締結
     ③就業規則または労働協約の定めがあること
     ④効果
   (3)企画業務型裁量労働時間制の要件・効果
     ①対象業務
     ②対象労働者
     ③労働対象者の個別同意
     ④労使委員会の設置
     ⑤労使委員会の5分の4以上の多数による決議と届出
     ⑥就業規則または労使協定の定め
     ⑦効果
(4)みなされた労働時間と実際の労働時間が大きく?離している場合について
 10節  賃金債権と相殺するとの主張
   (1)判例に基づく賃金債権相殺の原則
   (2)調整的相殺
 11節  労働者は賃金請求権を放棄しているとの主張
   (1)包括的清算条項とは
   (2)実務上の着眼点


第3章 残業代の相談から解決までの手続
 
 1節  相談の際の留意事項
   (1)基本的事項の聴取
   (2)労働時間立証資料の確認と収集
   (3)証拠保全の検討
   (4)労働実態の把握
   (5)時間単価の算出と残業代の概算
   (6)考えられる会社からの反論への対処
   (7)消滅時効、付加金、遅延損害金に関する留意点
     ①催告による時効の完成猶予
     ②損害賠償請求の検討
     ③付加金・遅延損害金
   (8)会社の資力に疑問がある場合
     ①仮差押え
     ②取締役の個人責任追及
     ③未払賃金立替払制度
 2節  手続選択
   (1)通知と交渉
   (2)裁判手続
     ①民事訴訟
     ②労働審判手続
     ③民事訴訟か労働審判手続かの選択
     ④仮差押え
     ⑤その他の手続
   (3)行政機関
     ①労働基準監督署の活用
     ②労働局のあっせん
 3節  証拠保全
   (1)証拠保全を利用する
   (2)証拠保全の申立書を作る
     ①証拠保全の申立書の記載事項
     ②管轄
     ③申立の趣旨
     ④保全の対象とする主な証拠
     ⑤証明すべき事実
     ⑥証拠保全の事由
   (3)証拠保全の申立書の記載例
   (4)証拠保全を申立てた後の流れ
     ①裁判官面接
     ②証拠保全までの準備
     ③証拠保全の実施
   (5)保全記録の謄写
 4節  仮差押え
   (1)仮差押えを利用する
   (2)仮差押命令の申立書を作る
     ①管轄
     ②被保全権利と保全の必要性
     ③預金債権や売掛金債権の場合の注意点
   (3)仮差押命令を申立てた後の流

著者略歴

著:旬報法律事務所
旬報法律事務所

ISBN:9784313313934
出版社:学陽書房
判型:A5
ページ数:228ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2022年07月
発売日:2022年07月19日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBF