序 章 地方財政法を学ぶ意義
第1章 制定過程
1 制定時と現在の対照
(1) 制定から現在までの大きな流れ
(2) 制定時と現在の条文構成の比較
(3) 地方財政法のあり方
2 内務省解体を背景とした地方財政法の制定
(1) 内務省解体と地方財政への影響
(2) 地方財政法制定のねらいと背景
(3) 地方財政法制定時の各省の協力
3 地方財政法の起草
(1) 地方財政法の意義と限界
(2) 地方財政交渉法として構想
(3) 6度にわたる書き直し
4 地方自治法との関係
(1) 地方財政法の創設時の地方自治法の改正
(2) 地方自治法との関係整理のための課題
(3) 規範法としての地方財政法
第2章 改正経緯
1 地方財政法の制定
(1) 地方財政法の改正における5つの時期区分
(2) 70年間の改正経緯
(3) 地方財政法制定時の国会審議
2 224回の改正
3 昭和24年から25年の改正
(1) 昭和24年4月16日法律第26号〔第一次改正〕
(2) 昭和24年5月31日法律第168号「地方財政法の一部を改正する等の法律」
1条による改正
(3) 昭和25年5月30日法律第211号「地方財政平衡交付金法」附則14項による改正
4 昭和27年から29年の改正
(1) 昭和27年5月23日法律第147号〔第二次改正〕
(2) 昭和28年8月14日法律第208号〔第三次改正〕
(3) 昭和29年5月31日法律第132号〔第四次改正〕
5 昭和30年代の改正
(1) 昭和32年5月23日法律第127号「地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律」1条による改正
(2) 昭和35年4月30日法律第69号「地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律」1条による改正
(3) 昭和36年5月30日法律第99号〔第五次改正〕
(4) 昭和38年6月7日法律第96号〔第六次改正〕
6 昭和50年代の改正
7 地方分権改革に伴う改正
8 臨時財政対策債の開始に係る改正
9 地方債の協議制のさらなる見直し
(1) 平成23年8月30日法律第105号「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」15条による改正
(2) 平成28年3月31日法律第14号「地方交付税法等の一部を改正する法律」4条による改正
第3章 財政運営の原則と違反行為への制裁規定(第1条~第4条、第25条~第26条)
1 地方財政法の目的(第1条)
2 地方財政運営の基本(第2条)
3 予算の編成(第3条)
4 予算の執行等(第4条)
5 違反行為への制裁措置(第25・26条)
6 第26条に対する柴田の見解
第4章 年度間調整(第4条の2~第4条の4、第7条)
1 財源保障と年度間調整(昭和29年の改正)
2 年度間の財政運営の考慮規定の追加(昭和32年改正)
3 年度間調整の規定の再整備(第4条の3・第4条の4、昭和35年改正)
4 積立金の造成と処分および基金のあり方(4条の3および4条の4の趣旨)
5 第4条の3と第4条の4の運用(国会審議から)
6 剰余金の使途(第7条)
第5章 割当的寄附の禁止(第4条の5)
1 条文制定の経緯と国等に対する寄附金の禁止
2 割当的寄附金禁止の趣旨
3 国等への寄附金等禁止とその緩和
第6章 地方債(第5条~第5条の8、第8条)
1 地方財政法以前の地方債に関わる規定
(1) 地方自治法発足時の規定
(2) 地方自治法の第一次改正に伴う変更
2 柴田の地方債への問題意識
(1) 地方自治法第226条への批判
(2) 許可制度のあり方など
3 第5条の制定過程
(1) 条文制定における地方債の規定の位置づけ
(2) 公営企業に関する規定等
(3) 奥野の見方
4 地方財政法制定時の第5条
5 昭和27年の地方公営企業法の制定
6 昭和28年改正による地方債規定の充実
(1) 改正条文
(2) 第5条の改正
(3) 第5条の2の創設
(4) 第5条の3~第5条の5までの創設
(5) 昭和36年改正
7 地方財政再建促進特別措置法による起債制限
8 昭和38年の地方自治法の改正
9 許可制度の妥当性
(1) 「当分の間」について
(2) 許可制度の必要性
(3) 地方債の総額抑制のルール
(4) 公営企業債を許可制度の下に置いた理由
10 昭和41年の地方公営企業法の改正
11 東京都起債訴訟と起債制限の運用緩和
12 協議制度の導入
(1) 協議制導入への経緯
(2) 地方自治法との関係
(3) 協議制の運用
(4) 特例措置としての許可制度
(5) 不要許可債
(6) 地方債の発行対象の明確化等
(7) 公営企業債に関する見直し
13 協議制度からのさらなる自由化
14 自治体財政健全化法に基づく起債制限
15 特例的な地方債について
(1) 財源不足に対応する特例的地方債
(2) 政策目的の推進のための特例的地方債
(3) 地方財政法以外の法律に基づく地方債
16 8条(財産の管理及び運営)
第7章 国と地方の負担区分(第9条~第24条)
1 国と地方の負担区分の重要性
2 国と地方の負担区分の制定過程
3 地方財政法制定時の国と地方の負担区分の考え方
4 自治制度の類型とわが国の折衷型制度
5 シャウプ勧告の事務配分と封じ込められた神戸勧告
6 日本型自治制度における事務配分とその課題
7 昭和27年の改正の概要
8 シャウプ勧告の負担区分論への柴田の反論
9 各条において留意すべきこと
(1) 第9条(地方公共団体がその全額を負担する経費)
(2) 第10条(国がその全部又は一部を負担する法令に基づいて実施しなければならない事務に要する経費)
(3) 第10条の2(国がその全部又は一部を負担する建設事業に要する経費)
(4) 第10条の3(国がその一部を負担する災害に係る事務に要する経費)
(5) 第10条の4(地方公共団体が負担する義務を負わない経費)
(6) 第11条(国と地方公共団体とが経費を負担すべき割合等の規定)
(7) 第11条の2(地方公共団体が負担すべき経費の財政需要額への算入)
(8) 第12条(地方公共団体が処理する権限を有しない事務に要する経費)
(9) 第13条(新たな事務に伴う財源措置)
(10) 第14・15条
(11) 第16条(補助金の交付)
(12) 第17条(国の負担金の支出)
(13) 第17条の2(地方公共団体の負担金)
(14) 第18条(国の支出金の算定の基礎)
(15) 第19条(国の支出金の支出時期)
(16) 第20条(委託工事の場合における準用規定)
(17) 第20条の2(支出金の算定又は支出時期等に関する意見書の提出)
(18) 第21条(地方公共団体の負担を伴う法令案)
(19) 第22条(地方公共団体の負担を伴う経費の見積書)
(20) 第23条(国の営造物に関する使用料)
(21) 第24条(国が使用する地方公共団体の財産等に関する使用料)
10 国と地方の負担区分に係る歴史的評価のために
第8章 地方公営企業(第6条)
1 第6条の形成過程
2 制定時の条文に対する逐条解説の趣旨
3 地方公営企業法の成立を受けた昭和28年の改正
4 準公営企業を設けた昭和32年の改正
5 昭和38年の改正
6 昭和41年の地方公営企業法の改正
(1) 地方公営企業制度調査会答申
(2) 適用範囲の拡大
(3) 一般会計等との負担区分
(4) 地方公営企業の再建規定
7 昭和41年の地方財政法第6条の改正
8 第6条のこれまでの経緯と今後の法適用の拡大をめぐって
(1) 昭和41年改正までの動き
(2) 自治体財政健全化法の影響と法適用の推進
第9章 都道府県と市町村の関係等(第27条~第30条の3)
1 都道府県と市町村の財政関係に関する規定
2 各条において留意すべきこと
(1) 第27条(都道府県の行う建設事業に対する市町村の負担)
(2) 第27条の2(都道府県が市町村に負担させてはならない経費)
(3) 第27条の3(都道府県が住民にその負担を転嫁してはならない経費)
(4) 第27条の4(市町村が住民にその負担を転嫁してはならない経費)
(5) 第28条(都道府県がその事務を市町村等が行うこととする場合の経費)
(6) 第28条の2(地方公共団体相互間における経費の負担関係)
(7) 第29条(都道府県及び市町村の負担金の支出)
(8) 第30条(都道府県及び市町村の負担金等における準用規定)
3 都道府県と市町村の二層制の柔軟化を想定して
4 その他の規定
(1) 第30条の2(地方財政の状況に関する報告)
(2) 第30条の3(事務の区分)
第10章 附則(第31条~第38条)
1 附則の変遷
2 第32条─宝くじ等の発行
3 第32条の2─公営競技納付金
4 第33条~第33条の9─地方債に関する特例的措置
5 第34条─地方公共団体が全額を負担する経費の特例(第9条の例外)
6 第35条─北海道への特例措置
7 第36条~第38条─その他の特例措置
終 章 地方財政運営の中長期的課題
1 地方財政法の改正履歴が示すこと
2 地方自治法との関係から敷衍される課題
3 法整備における諸課題
(1) 負担区分
(2) 地方債発行の規制
(3) 年度間調整
(4) 地方公営企業
(5) 割当的寄附等
(6) 第26条のあり方
(7) 暫定的措置への対応
(8) 財務会計制度と財政分析の手法
(9) 条件不利地域に対する振興策
4 地方財政法の前向きの見直しに向けて