はしがき
第1章 入札・契約制度の課題
1 入札改革の意義
1 国民意識の変化
2 会計法規の原則へ
3 米国における入札改革
2 わが国における入札改革の歴史
1 談合が蔓延していた時代
2 入札改革が始まるきっかけ
3 入札改革の口火を切った地方自治体
4 国段階における入札改革
コラム 談合の実効確保手段となっていた「工事完成保証人制度」
3 一般競争入札が「契約の原則」とされている理由
1 会計法の定め
2 地方自治法の定め
3 「入札」が果たす機能と「納税者の求める4つの条件」
4 入札制度に恣意性が入り込むことの弊害
コラム 防衛省市ヶ谷地区施設の管理運営業務を一般競争入札に付した問題
4 指名競争入札の長所と短所 0
1 会計法の定め
2 地方自治法の定め
3 指名競争入札のメリット・デメリット
コラム 受注予定者が行う「関係者」への3つの働きかけ 33
5 随意契約が認められる場合
1 「見積合わせ」と「特命随意契約」
2 随意契約の長所と短所
6 発注機関が「買い手の立場」と「売り手の立場」を兼ねると
どうなるか
7 入札改革に受注業界の意見も取り入れるべきか
1 緊張関係にある「買い手」と「売り手」の立場
2 入札改革は「買い手」の立場でおこなうべき
8 入札改革と地元業者の保護・育成策の両立は可能か
1 指名競争入札による談合擁護
2 競争制限による保護政策の間違い
9 受注事業者に対する地元業者の下請利用の義務付けは可能か
1 事案の概要
2 公正取引委員会の回答要旨
3 Y市事例を踏まえた本件に関する筆者のコメント
10 「最低制限価格を引き上げれば建設業者の疲弊」は防げるか
1 入札改革の「後戻り」
2 入札改革によって落札率が低下する理由
3 需給ギャップの拡大により落札率が低下している場合の対策
4 最低制限価格の引上げは建設業界の構造改革に逆行
コラム 「業務委託」は「予定価格の事前公表」と親和性がある
11 「競争性の確保」のために、どの程度の業者数が必要か
1 適切な業者数とは
2 恣意性を排除した入札制度に改革することによって競争性を確保した事例
3 発注地域を広域化することによって競争性を確保した事例
12 「1者入札」が発生する原因と対策
1 「1者入札」について
2 「1者入札」が生じる原因
3 「1者入札」をなくす方策
コラム 「声掛け運動」のすすめ
13 予定価格の役割と限界
1 予定価格は「適正価格」か
2 予定価格の役割と算定根拠
14 予定価格設定のための「参考見積」の提出要請はなぜ問題か
1 予定価格とその設定方法
2 予定価格を設定するため「参考見積」を提出させることの問題点
3 改善すべき方向
15 契約担当者の発注能力不足を補う方法はあるか
1 「契約担当者等の発注能力不足」という現実
2 契約担当者等の発注能力不足がもたらす弊害
3総合評価方式の調査基準価格を最低制限価格として機能させていたケース
16 「総合評価方式」のどこが問題か
1 「技術提案評価型・総合評価方式」の法的根拠
2 「技術提案評価型・総合評価方式」の長所・短所
3 総合評価方式の運用上の問題点
17 「技術提案型・総合評価方式」の代わる「2段階選定方式」の提案
1 「2段階選定方式」の大まかな仕組み
2 設計コンペの実施方法
3 施工業者の選定方法
4 富弘美術館と横須賀市の設計コンペ
5 二段階選定方式のメリット
18 行政コストを大幅に削減し得る「事後資格審査方式」とは
1 事前資格審査の問題点
2 事後資格審査のメリット
3 会計法規と「事後審査」との関係
4 改善すべき方向
19 工事品質をいかに確保するか
1 「工事品質の確保」は発注者の責務
2 品質確保策は建設工事と一般の商品とどこが違うか
3 工事品質確保策
コラム 発注機関が「甘い検査」をするとどうなるか
20 安値入札と工事品質とは相関関係にあるか
1 落札率と工事成績との関係
2 「安値入札物件」のほうがむしろ工事成績が良い理由
21 談合とはどのような行為か
コラム 談合にはどのような弊害があるか
22 談合はなぜ行われるのか
1談合が行われてきた理由の検討
2 簡単に利益が得られる
3 発注者にとっても談合があったほうが「都合が良い」
4 談合はなかなか見つけにくい
コラム ゼネコン「談合離脱宣言」の背景事情
23 談合の有無と落札率とにどのような関係があるのか
1 談合があると落札率が高くなる理由
2 入札改革を行うと落札率が80%前後に急落する理由
24 談合を発見する方法
1 入札結果を分析する方法
2 工事費内訳書を分析する方法
3 入札説明書に対する質問を分析する方法
コラム リーニエンシー制度(課徴金減免制度)導入のねらいと効果
25 官製談合防止法はどのような経緯で制定されたのか
1 北海道農業土木工事談合事件のてんまつ
2 処分を受けた業者の不満
26 官製談合防止法はどのような法律か
1 官製談合防止法の沿革
2 官製談合防止法の概要
27 官製談合防止法の罰則規定(第8条)の適用状況はどうか
1 発注機関職員に対する刑事罰の適用
2 公正取引委員会が把握している8条違反事例
3 判例により明らかになった8条違反事例
28 談合の被害に遭った場合、どのように損害賠償を請求するのか
1 損害賠償請求の概況
2 民法709条に基づく損害賠償請求手続
29 入札監視委員会の運営はいかにあるべきか6
1 入札監視委員会とは
2 審議対象案件の抽出方法等に関する「工夫」
コラム 事業者団体に対する災害発生時の道路啓開作業に係る委託事業者の候補の選定依頼
コラム 市によるごみ袋の小売価格の統一に係る行政指導 223
第2章 入札改革の成功例と課題の検証
1 入札改革により「談合」と「政官業の癒着」の排除に成功した長野県
1 入札改革の始まり
2 長野県入札改革の3つの理念と5つの柱
3 長野県の入札改革の成果
コラム 一般競争入札の全面的導入で「天下り」を根絶させたケース
2 市町村合併を機に入札改革の地域を広げた三重県松阪市
1 はじめに
2 旧松阪市が入札改革を始めた経緯
3 どのように改革を進めたのか
4 入札改革の成果
5 合併に伴う入札制度の設計
6 旧松阪市以外の地域における競争性
3 人口3万人の自治体でも入札改革が可能なことを示した静岡県吉田町
1 小規模自治体の挑戦
2 どのような手順で改革が行われたか
3 当初の抽選型指名競争入札の仕組み
4 実際の入札状況と業者の反応
5 抽選型指名競争入札の効果は何か
6 抽選型指名競争入札の課題は何か
7 建築工事等の入札の状況
8 人口3万人足らずの小規模自治体がなぜ入札改革に成功したか
9 抽選型指名競争入札の「課題」の克服策
4 簡易型・総合評価方式により地元業者保護を実現することに成功した長野県
1簡易型・総合評価方式の運用の中で
2 簡易型・総合評価方式の多用
3 「工事成績」を評価項目に採用
4 「地域要件」を評価項目に採用
5 長野県の総合評価方式の特徴
5 「総合評価方式」の非価格点の評価で苦情が発生したT環境衛生組合のケース
1 事案の概要
2 苦情の概要
3 「高度技術提案型/総合評価方式」の問題点
6 総合評価方式の「技術提案書」を職員が代筆したH森林監督署のケース
1 森林整備事業の入札
2 事件の経緯
3 事件の概要
4 再発防止措置の概要3
5 不祥事発生の原因と再発防止策
7 地元の有力業者の求めに応じ秘密情報を教示していた国土交通省高知国道事務所のケース
1 事件の経緯
2 事件の概要
3 再発防止措置の概要
4 不祥事発生の原因と再発防止策
8 曖昧な発注仕様書がトラブルを引き起こした山形県Y市のケース
1 事案の概要
2 入札に至る経緯と結果
3 問題の所在
4 本件から得られる知見(経験則)
9 「複数年契約」と「長期継続契約」を活用し、競争性を高め、行政コストの削減に成功した東京都立川市
1 「複数年契約」の積極活用
2 「長期継続契約」の実施状況と効果
3 「長期継続契約」運用上の課題
10 「平均額型最低制限価格制度」の導入により落札価格を「相場価格」に収れんさせることに成功した神奈川県横須賀市
1 制度導入の経緯
2 平均額型最低制限価格制度の仕組み
3 平均額型最低制限価格制度を導入した結果
11 「変動型最低制限価格」の採用で「不当な安値」と「くじ引き」を排除し、落札価格を「相場価格」に収めた東京都立川市
1 立川市の変動型最低制限価格制度
2「変動型」5年間の運用状況
3 「変動型」を採用するメリット
4 残された課題
12 「低入札価格調査制度」をやめ、「変動型最低制限価格制度」に変更して行政コストを大幅に低減させた兵庫県加古川市
1 低入札価格調査制度の問題点
2 加古川市の変動型最低制限価格制度
3 加古川市の変動型最低制限価格制度のメリット
13 「工事成績条件付入札」の導入により工事品質を格段に高めることに成功した神奈川県横須賀市
1 制度導入の理由
2 工事成績が優秀な業者をどう選定するか
3 工事成績条件付入札のメリット
14 「ワーキング」や「15か月予算」により工事品質の確保と検査業務の平準化を図る鹿児島県薩摩川内市
1 合併を機にスタート
2 入札改革の4段階
3 入札改革による成果
4 ワーキングの実施
5 工事成績優良業者表彰制度
6 15か月予算制度
15 「松阪方式」でごみ処理施設建設を発注することにより100億円超の入札差金を得ることに成功した三重県松阪市
1 独自の「松阪方式」
2 「その道の専門家」の有効活用
3 建設工事と20年間の運転維持管理業務の一括発注
4 総合評価方式の不採用
5 「基準仕様書発注方式」の採用
6 「他事例参考型予定価格設定方式」の採用
7 「質問・回答情報共有方式」の採用
8 「事後技術審査方式」の採用
9 「事後技術審査方式」のその後
16 新清掃工場建設工事発注に当たり、業者との入札前の接触を完全に絶ち、「公正さ」を徹底した東京都立川市
1 成果の出た入札結果
2 入札前における業者との接触等の禁止
3 市長の入札への不関与
4 総合評価方式の不採用
5 建設工事と20年間の運転維持管理業務の一括発注
6 変動型最低制限価格の設定
7 事後資格審査方式の採用
8 残された課題
17 ごみ収集業務委託を一般競争入札化し委託費を大幅に節約することに成功した神奈川県横須賀市
1 導入の経緯
2 競争入札の実施方法
3 入札結果
4 業者・住民の反応
18 徹底した市民参加で新庁舎を建設した東京都立川市
1 市民100人委員会
2 「設計者選定競技(立川モデル)」とは
3 「一括発注技術提案型・総合評価方式(立川モデル)」とは
4 高度技術提案型・総合評価方式はどのような問題があるか
19 「要望等記録・公表制度」の導入により議員等からの「口利き」の封じ込めに成功した横浜市
1 不祥事を契機とした横浜市の再発防止策の概要
2 不祥事の概要
3 再発防止策の検討に先立つ調査
4 要望等の記録・公表制度
20 「公契約条例」の制定により極端な安値入札を排除しようとする千葉県野田市
1 野田市公契約条例の制定の経緯
2 野田市公契約条例の概要
3 野田市公契約条例の運用状況と効果
4 野田市公契約条例の課題
参考資料
主要さくいん