自治体監査の12か月
仕事の流れをつかむ実務のポイント
著:馬場 伸一
内容紹介
自治体組織の健康な運営のためにますます重要度が上がってきている監査業務について、1年間の業務を網羅した解説書。
仕事の不具合を正し、業務プロセスに潜むリスクを検知し、業務を改善する監査の仕事を経験豊富な著者がわかりやすく説明。
年間の業務を大まかに月別のスケジュールとして示したうえで、その実務を解説し、さらに、重要な項目については、よりくわしく解説を加えている。
目次
【目次】
はじめに~元気な監査が健康な組織をつくる
自治体監査の年間スケジュールの例
序章 監査事務局の12 か月
第1 章 4・5月の実務
4月 ようこそ、監査事務局へ!
よその国では人気職場
監査が機能できなかった利益分配政治の時代 23
そもそも監査って何?
エージェンシー問題って?
監査前史会計制度のものすごくざっくりした歴史
アダム・スミスの嘆き
さらに、政府固有の弱点-フリードマン先生の鋭すぎる指摘
だからこそ「自分のお金だったら」という問いかけは有効です
だからと言って政府が非効率であってよいはずがない
監査は役所のたった一人の主治医!
例月現金出納検査
5 月 監査初心者のために。まずは基本から
監査初心者のための研修案(骨子)
基本用語:「指摘」と「指導」
監査論における「指導的機能」との違い
監査を実施する前の諸準備
第2 章 6~8月の実務
6~8月 決算審査、健全化判断比率等の審査
決算審査意見書の書き方<一般会計編>
「決算が適正」ということの意味
「粉飾決算を防ぐ」ことは監査委員の使命
やってはいけない決算:夕張市巨額粉飾決算の手口
決算審査意見書の書き方<特別会計編>
決算審査意見書の書き方<企業会計編>
減価償却というマカフシギな「費用」が生まれたわけ
「若い」ときは苦労する公営企業
第3 章 無季 住民監査請求
無季 始まりはいつも突然-住民監査請求
とってもアメリカンな住民監査請求制度
それでも定着してきた住民監査請求制度
住民監査請求の対象は財務会計上の行為
とても「せわしない」住民監査請求
ほとんど「法制事務」な住民監査請求事務
論点を整理し、事実に基づいて判断する
市民の目による監視
第4 章 9・10月の実務
9・10月 やってはいけない事務処理
最初の公金不正―カラ出張
巨額粉飾決算―夕張市財政破綻
第二次公金不正―「預け」など
その他の好ましからざる事務処理の類型
官僚制の逆機能=組織の病気
第5 章 11・12月の実務
11・12月 行政監査、出資団体監査、財政援助団体監査、指定管理者監査
Ⅰ 行政監査
「部局またがり」の業務に有効な行政監査
「新しい監査」である行政監査
行政監査は,面白い!
執行部への改善提案も可能
監査事務局職員の戸惑い-「政策系」行政監査は難度が高い
ITの活用は不可欠
行政監査は便利な「文明の利器」
Ⅱ 出資団体監査・財政援助団体監査
自治体監査の大敗北―A県住宅供給公社巨額横領事件
まずはとにかく簿記の勉強を
キモは「財政援助」の範囲の確定
Ⅲ 指定管理者監査
現場は大変だけど「今さら止められない」指定管理者制度
そもそも、「外部化した事務」の統制は難しい
エージェンシー問題とは
エージェンシー問題の典型「手抜き」と「水増し請求」
日常的な「監督」「モニタリング」に加えて監査が重要
所管課を必ず同時に監査すること
指定管理制度とマーケット・メカニズム
マーケットの陥かん穽せい―指定管理者の経営破綻
外部化した業務への統制手段としての監査
第6 章 1~3月の実務
1 ~ 3 月 ダメな指摘と良い指摘
監査事務局長の憂鬱
指摘は監査事務の中心
やってはいけない指摘① 具体性に欠け、改善につながらない指摘
やってはいけない指摘② 公平性に欠け、改善につながらない指摘 権限を悪用して被監査部局を虐める「悪代官」指摘
やってはいけない指摘③ 言いっぱなし指摘
やってはいけない指摘④ 疑問な指摘(予算執行への過剰介入)
やってはいけない指摘⑤ 「忖度」指摘
目指すべきは、仕事を改善する指摘
創業と守成、いずれが難きや
おわりに