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イタリアの中世都市

アゾロの建築から領域まで

編:伊藤 毅

紙版

内容紹介

北イタリア、ヴェネト地方を代表する美しい丘陵都市アゾロ。
アドリア海に面するヴェネト州は、かつてヴェネツィア共和国の大陸領土(テッラフェルマ)と呼ばれた地域である。同州は広大なヴェネト平原から急峻なアルプス山域にいたる多様な地理条件が特徴で、丘陵都市アゾロは平野と山地の中間地帯にある。平野部の多くの都市が鉄鋼業や製粉業、製材業などによって近代化を遂げ、都市の風景を変貌させたのに対し、アゾロではいまだ農業を基盤とした地域構造が残り、古きよき街並みが保たれている。
この歴史的な都市アゾロを対象に、日伊の建築学・歴史学・地理学の専門知を結集し、丘陵地帯の裾野で展開する都市領域(テリトーリオ)の形成と再編成の過程をたどる。

目次

序 アゾロへの視点
第一章 テッラフェルマの風景
I ヴェネトの領域と地理的多様性
II 地図と風景
III 農業景観の過去と現在
[寄稿1]ヴェネト州の都市と地域の空間構造――地形と河川からの視点を中心として/陣内秀信

第二章 中世ヴェネトの都市と領域
I 中世ヴェネトの領域
II 準都市と河川――バッサーノとブレンタ州

第三章 アゾロの都市形成
I ひらかれた囲繞都市
II 古代・中世における水
III地形と都市組織
IV ポルティコと都市空間
[寄稿2]トスカーナ小都市の基層と地域形成/野口昌夫

第四章 アゾロの建築
I 建築意匠の特徴
II 建築素材
III 都市住宅
IV 水車小屋
V ヴィラ
[寄稿3]カテリーナ・コルナーロとアゾロ/渡辺真弓

第五章 アゾロの領域と風景
I ヴィラと地域社会
II アゾロ近郊の農地組織
III ヴィラと農村
巻末資料

著者略歴

編:伊藤 毅
伊藤毅(いとう・たけし)
青山学院大学総合文化政策学部教授。東京大学名誉教授。工学博士。都市史学会会長。
1952年生まれ。東京大学工学部建築学科卒業・大学院博士課程単位取得退学。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授を経て、現職。
著書に『都市の空間史』、『町屋と町並み』、『バスティード――フランス中世新都市と建築』、『危機と都市――Along the Water』、『フエ――ベトナム都城と建築』、『日本都市史・建築史事典』など。2011年日本建築学会賞、2005年建築史学会賞、1990年日本建築学会奨励賞受賞。

ISBN:9784306073494
出版社:鹿島出版会
判型:A5
ページ数:536ページ
定価:5000円(本体)
発行年月日:2020年04月
発売日:2020年04月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1DST