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京都と近代

せめぎ合う都市空間の歴史

著:中川 理

紙版

内容紹介

日本の都市は、どのように近代化を受け入れ、近代化を遂げていったのか。
博覧会、広場、道路拡築、山並み景観、区画整理、郊外住宅……、
古都の空間再編に日本の都市の近代化過程を検証する。

目次

序章
近代化により共有される価値/名望家支配から都市経営へ/事業史の枠組みを超えて/折り合いをつける伝統と近代/本書の構成

第一章 街区一新の顛末
維新を迎えた時点での京都/街区一新/一間引下令の挫折/近代化の挫折とその理由

第二章 近代を象徴する場となる岡崎
鴨東開発計画/西洋意匠の導入/国風イメージの発信/歴史と近代化が出会う場/集う空間から公の空間の成立へ

第三章 技術を背景とする土木官吏の台頭
近代を受け入れる街/臨時土木委員会での議論/市長の構想と土木官吏の役割/伝統的土木技術の破綻/迎えられる学士の土木専門官吏/土木官吏の台頭が意味するもの

第四章 近代的空間再編の受容過程
道路拡築に対する住民/組織的反対運動/用地買収の実際/公同組合の役割/都市改造へ動員させるシステム

第五章 「歴史」のデザインをめぐって
風致をめぐる府と市の対立/市が架け替えた四条大橋と七条大橋/設計者をめぐって/府が架け替えた三条大橋と五条大橋/府技師の橋梁設計

第六章 空間再編にともなうデザインの模索
模範なき近代都市空間のデザイン/都市イベントとしての大礼/装飾される都市/近代都市空間の受容/装飾に託された近代化

第七章 制度の矛盾がつくり出した新市街
税負担が郊外住宅地をつくる/居住条件となる負担の不均衡/特異な京都の税負担/住民に対する重税/隣接町村の軽い負担/税を逃れて移住する人々/続けられた地主・家主の支配構造

第八章 景観論争に見る技術者万能主義批判
風景保護政策/東山開発計画/東山開発計画への反論/論争が示すもの/技術者万能主義への批判

第九章 土地区画整理に見る都市専門官僚制
京都だけで実現した土地区画整理/計画立案と最初の道路事業/二つの土地区画整理事業/都市計画土地区画整理の成立/施行の過程/計画・事業の背景にあったもの/トップダウンの事業計画

結章
調停する近代から理想の近代へ/二つの「歴史」/新たな公共圏の創出/比較都市の視点から/地主・家主による一貫した地域構造/視覚的支配と景観意識

著者略歴

著:中川 理
中川 理(なかがわ・おさむ)/1955年生まれ。京都大学大学院博士課程修了。京都工芸繊維大学大学院教授。建築史家。著書:『風景学』(2008年、共立出版)、『美術館の可能性』(共著、2006年、学芸出版社)、『近代建築史』(共著、1997年、昭和堂)、『都市・建築の現在(シリーズ都市・建築・歴史10)』(共著、2006年、東京大学出版会)、『偽装するニッポン 公共施設のディズニーランダゼイション』(1996年、彰国社)、『重税都市 もうひとつの郊外住宅史』(1990年、住まいの図書館出版局)、『再生名建築』『再生名住宅』(共著、2009年、鹿島出版会)ほか多数。

ISBN:9784306073166
出版社:鹿島出版会
判型:4-6
ページ数:368ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2015年07月
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TQS