新古今和歌集の新しい歌が見つかった!
800年以上埋もれていた幻の一首の謎を探る
編:鶴見大学日本文学会・ドキュメンテーション学会/鶴見大学図書館
著:久保木 秀夫
著:中川 博夫
内容紹介
2012年、鶴見大学図書館に「古筆手鑑」一帖が収蔵され、その中から、『新古今和歌集』の歌としては、これまでまったく知られていなかった一首が、新たに発見されました。鎌倉時代のごく初期に書写された巻子本を、主に観賞目的で分割した、いわゆる古筆切(断簡とも)の一葉として、それは姿を現しました。
本書は、その『新古今和歌集』新出歌を記載している断簡について、あらためて紹介し、かつ関連資料を徹底的に集めた上で考察するものです。
日本古典文学研究の推理小説的な面白さや奥深さ、必要性、重要性を存分に伝えるエキサイティングな書。本書の原本資料を活用した、書誌学的・文献学的方法に基づく論述は、古典文学研究の魅力をあますところなく伝えます。図版多数掲載、フルカラー。
目次
ご挨拶 [鶴見大学図書館 図書館長・二藤 彰]
はじめに―新出歌は、古典文学研究の推理小説的な面白さや奥深さを伝える。[久保木秀夫]
『新古今和歌集』とは
複雑な成立過程と異本歌
新たに発見された『新古今集』の歌
本書で明らかにしたいこと
第1章 『新古今和歌集』新発見の一首の謎を探る―紹介と考察―[久保木秀夫]
1 古筆手鑑・古筆切の資料的価値とは
2 今回鶴見大学図書館に収蔵された古筆手鑑一帖
3 新発見の一首―伝寂蓮筆『新古今集』巻子本切―
4 新発見の一首のツレ―もとの古典籍から切り出された仲間―を探す
5 やはり『新古今集』の新出異本歌と認められるものであった
6 この巻子本切はいつ頃書写されたのか
7 巻子本切と竟宴本
第2章 作者・解釈・配列 [中川博夫]
1 作者・藤原隆方について
2 歌の解釈
3 他出の確認
4 『新古今集』巻第十一恋歌一内の配置の可能性
●主要参考文献
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