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古典籍研究ガイダンス

王朝文学をよむために

編:人間文化研究機構 国文学研究資料館

紙版

内容紹介

古典籍にはどのような情報が含まれているのか。それらの情報はどのようにして引き出して、研究に役立てていくことができるのか。
研究方法と成果をわかりやすく紹介する本です。
王朝文学についてより詳しく知りたい、もっと深い知識を身につけたい、自分自身の力で調べ考えたい方へ。
古典籍を自分の力で、どう調べ、どう考えればいいのか。必携の入門書です。

●執筆者一覧[掲載順]浅田 徹/寺島恒世/古瀨雅義/藤田洋治/妹尾好信/鶴崎裕雄/齋藤真麻理/藤島綾/山本登朗/松原一義/伊藤鉄也/今西祐一郎/原 豊二/勝俣隆/西本寮子/小川陽子/福田景道/久保木秀夫/小林一彦/田渕句美子/小林健二/日下幸男/神作研一/安原眞琴/田野慎二/小川剛生/鈴木淳/海野圭介/落合博志/野本瑠美/森田直美

【わからないことがあるからこそ、きっと研究は面白いのです。わからないことがあるからこそ、研究は必要なのです。わからないことがあるからこそ、その研究方法に熟達した研究者の存在が不可欠となるのです。そしてわからないことがあるからこそ、研究者は常に自らの問題意識や方法を自省しながら、少しでも学問の進展と深化に寄与できないかと試行錯誤を続けるのです。そのような終わりのない、しかしだからこそ意義のある模索を、これから皆さんが重ねていこうとする際に、本書が少しでもお役に立つようでしたら幸いです。……イントロダクションより】

目次

 序…今西祐一郎
 introduction ―わからないことがあるからこそ、きっと研究は面白い

Part.1 読みが変わる・変える

■和歌
 01勅撰集………
  『古今集』を読む―定家本に残るある写本の痕跡…浅田徹
  『新古今集』の本文―校本の作成に向けて…寺島恒世
 02古今六帖………
  貼紙の形態と本文の錯簡から底本を推察する方法
   ―黒川本『古今和歌六帖』写本と寛文九年版本…古瀨雅義
 03私家集………
  私家集伝本の本文―歌仙家集本系統の本文を中心に…藤田洋治
  歌物語的私家集・日記的私家集…妹尾好信
 04歌学歌論………
  「作者自筆本」から何が汲み取れるか―『近代秀歌』の定家自筆本冒頭部を見る…浅田徹
 05古今伝授………
  古今伝授…鶴崎裕雄
 06和漢朗詠集………
  橋の下の菖蒲―『和漢朗詠集』を読む…齋藤真麻理

■物語
 01伊勢物語………
  本文と絵が織りなす世界―『伊勢物語』二三段の場合…藤島綾
  古注釈書を読む―『伊勢物語闕疑抄』の場合…山本登朗
 02多武峯少将物語………
  訪書の喜び―多武峯少将物語の諸本調査…松原一義
 03源氏物語………
  書写により変異する本文―『源氏物語』を写本で読む…伊藤鉄也
  女房の「たばかり」―『太平記』から『源氏物語』を読む…今西祐一郎
  抜書の方法―『源氏物語』の享受世界―…原豊二
 04狭衣物語………
  作り物語から御伽草子へ―『狭衣物語』と「狭衣の草子」並びに天稚御子…勝俣隆
 05とりかへばや………
  写本で伝わる物語―後期物語と『とりかへばや』…西本寮子
 06中世王朝物語………
  写本の書写年代と物語の成立…小川陽子

■歴史物語
 01弥世継………
  幻の「弥世継」をさがす―世継物語(歴史物語)の継続と変転…福田景道
 02栄花物語………
  写本のかたち、本文のちがい―『栄花物語』の場合…久保木秀夫

■日記・随筆
 01土左日記………
  著者自筆原本の復元―『土左日記』の場合…小林一彦
 02枕草子………
  『枕草子』本文から見る先行文学享受の有り様―清少納言が見た『古今和歌六帖』…古瀨雅義
 03紫式部日記………
  現在の作品形態を超えて考える―『紫式部日記』…田渕句美子

■芸能
 01能………
  世阿弥は王朝文学からどのように能を作ったか―能「井筒」を例として…小林健二

Part.2 本をみる・さがす

■基礎知識
  書誌学の手引き―本をみる・さがす前に

■書誌学
 01奥書・識語………
  奥書・識語…日下幸男
 02刊記………
  刊記―歌書の刊・印・修…神作研一
 03古筆切………
  古筆切…久保木秀夫
 04短冊………
  短冊―美の小宇宙…神作研一
 05絵画………
  絵入り写本をみる・さがす―『扇の草子』を例に…安原真琴
  版本の挿絵を読む―歌書を中心に―…田野慎二
 06禁裏・幕府………
  禁裏・宮家の蔵書―砂巌所収「伏見殿家集目録」をめぐる問題…小川剛生
 07国学者………
  近世の注釈と創作の間―賀茂真淵の『伊勢物語古意』をめぐって…鈴木淳

■文献資料・文献情報
 01マイクロ・紙焼etc………
  マイクロ資料・デジタル画像の活用 …齋藤真麻理
 02複製本・影印本………
  複製本・影印本の活用…海野圭介
 03翻刻・校本・校訂本………
  翻刻と校訂―日本古典文学作品を読むために…小林健二
 04web・DB 、蔵書目録………
  「新出」伝本のさがし方―『今鏡』の場合…久保木秀夫
 05歴史研究の立場から………
  日記・記録の写本について…小川剛生
 06原本………
  古典籍の原本を見る…落合博志

■人間文化研究機構 国文学研究資料館 図書館利用案

 掲載図版一覧
 あとがき…小林健二
 執筆者紹介

著者略歴

編:人間文化研究機構 国文学研究資料館
昭和47年5月創設。日本文学に関わる様々な課題に対応した基幹研究、研究プロジェクト及び共同研究を行うほか、関連する諸資料を調査・収集し、保存と利用を図っている。ウェブサイトでは各種情報を発信しています。是非アクセスしてください。 http://www.nijl.ac.jp/

ISBN:9784305705945
出版社:笠間書院
判型:A5
ページ数:464ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2012年06月
発売日:2012年06月06日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ