序論─本書の方法と目的─
第一部 東アジアの言語と『日本霊異記』
第一章 古代前期〈日本〉の言語認識と〈異言語〉─「梵語」「漢語」「倭語」などの問題─
第二章 古代の漢文訓読文と『日本霊異記』─古典語のテンス・アスペクトの問題を中心にー
第二部 「景戒」の思想と『日本霊異記』
第一章 『日本霊異記』と中国六朝思想─悔過・懺悔・慚愧─
第二章 自叙と内省─『日本霊異記』における景戒─
第三章 『日本霊異記』における「天台智者」と末法思想
第四章 『日本霊異記』と「天台智者」─「神人」との問答と『涅槃宗要』─
第五章 景戒の夢と焼身─下巻第三十八縁をめぐって─
第三部 東アジア仏教文化圏との関わり
第一章 「縁起」と〈寺院縁起〉概念をめぐって
第二章 『日本霊異記』の注釈的性格─引用経典と例証としての説話─
第三章 経典・注釈・説話─『日本霊異記』の観音霊験譚と経疏─
第四章 聖君問答と中国六朝論争─下巻第三十九縁考─
第五章 「極楽浄土」と個人の救済─上巻第二十二縁─
第六章 冥界の王宮─東アジアにおける霊魂のゆくえ─
第四部 外来説話と土着
第一章 仏教東漸と阿育王伝承─上巻第五縁〈吉野寺縁起〉の思想─
第二章 白い「ビュウ(けものへん+彌)猴」と説話の様式─下巻第二十四縁考─
第三章 『日本霊異記』の筑紫説話─下巻第十九縁をめぐって─
第四章 『日本霊異記』における祖霊祭祀─枯骨報恩譚を中心に─
第五章 〈やまい〉と鬼神─中巻第二十四縁考─
第五部 東アジア仏教の理念と説話表現
第一章 『日本霊異記』の「貧窮」について
第二章 『日本霊異記』の〈女性〉観─説話の表現をいかに読むか─
第三章 『日本霊異記』の性愛表現
第四章 『日本霊異記』における〈呪殺〉
第五章 『日本霊異記』の「祟」と「誅」─東アジアの宗教思想と因果応報─
第六部 仏典注釈の知的世界と仏教的知性─古代説話文学研究のために─
第一章 八世紀の三経義疏における「私」説
第二章 三経義疏と聖徳太子信仰
第三章 奈良時代・仏典注釈の世界と善珠撰述経疏の言説
第四章 善珠撰述『本願薬師経鈔』をめぐって
第五章 『本願薬師経鈔』と東アジアの仏典注釈
第六章 善珠『梵網経略抄』から見る「婬」と「呪術」の認識
第七章 智光『般若心経述義』
第八章 法進『沙弥十戒并威儀経疏』の「うた」
結論
初出一覧 あとがき 索引(書名・人名・事項)