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日経プレミアシリーズ

残念な相続 <令和新版>

著:内藤克

紙版

内容紹介

相続対策の落とし穴をベテラン税理士が解説
相続大改正に対応!

 「相続って、お金持ちの家の話だよね。大した財産もないから、うちは関係ない。きょうだいだって仲がいいし、もめるわけがない」

 相続のアドバイスというと、「お金持ちのお父さん」へ向けて節税や保険を勧めるイメージを持ち、自分には無縁と考える方が大半でしょう。しかし、実際の相続では「大した財産がない」ほうが分割で困る可能性が高いのです。

 遺産が主に自宅で預貯金などの流動資産が少ない場合、きょうだいで分けることが難しくなります。また、親から生前に受けていた贈与をめぐって、きょうだい間で激しい争いが起きることもあります。相続税の面でも、納税額を減らそうと思って行った策が、かえって納税額を増やしてしまうこともあるのです。
 このような「残念な相続」を防ぐためには、正しい知識を身に付け、早めに対策を取ることが重要です。本書は、そうしたノウハウを解説して好評だった『残念な相続』(2018年7月刊)を改訂するものです。

 振り返るとこの5年間は相続ルールの大きな改正が相次いだ期間でした。また、新型コロナウイルスのまん延により人々の価値観が大きく変わり、「人の命ははかないもの」と考え、死を見つめ直す機会となった気がします。

 最近の民法の改正(数十年ぶりの改正が相次いだ)により、やや「時代にフィットした相続」が可能になりました。一方、ほぼ毎年の相続税法の改正により「節税策」がどんどん姿を消し、その傾向はこれからも続くと思われ、「納税しながら健全な財産を承継する時代」に向かっていると感じます。
 「どう節税するか」というよりも「残される者が困らないように」、そして何より「長生きする自分が困らないように」準備しておこうという気持ちで老後や相続を考えることになります。

 さらに、近い将来65歳以上の5人に1人は認知症を患うといわれています。今後は「節税などの相続対策」と並んで、「認知症などの相続前対策」が重要となるかもしれません。
(「はじめに」より)

目次

第1章 もめない策が仇となる「遺産分割」
1 「うちは大丈夫」。そう思ってる人が一番困る
2 親の面倒を見たら遺産の上乗せアリ?
3 「分割協議のやり直し」はNG?
4 「不動産」こそ相続の王様?
5 「お父さん、節税より私たちの欲しい財産残してよ」という時代に
6 税理士が節税よりも大切にすべきこと
7 「遺言さえあればすべてOK」。そんなわけありません!
8 借金は親戚中を追ってくる
9 「アパートローンの相続」には落とし穴がいっぱい
10 人気の「タワマン節税」。いよいよ封じ込めか?
11 「借金は破産しそうな弟に集める!」。これってアリ?
12 登記のできない自筆遺言。プロはこう切り抜ける
13 「この家を継ぐのはお兄ちゃん。おまえには何も残せない」
14 「お母さんにまかせた」では済まない未成年者の相続
15 帰省がチャンス! 親には相続の話をこう切り出そう
16 「で、そもそも誰が相続人?」。法務局の親族証明書
17 相続対策の第一歩は税理士選びから

第2章 本当は怖い「相続税」
1 「とりあえず母さん名義に」で相続税が2倍!
2 「基礎控除の範囲内」でも相続税の申告は必要?
3 相続を考えるなら住宅ローンは繰り上げ返済するな!
4 「領収書1枚」あれば1100万円節税できた!?
5 相続した空き家。売れば節税になる?
6 相続税の申告は「全員連名」がマスト?
7 親の自宅を売却。相続前後のどちらが有利か?
8 「路線価」で時価をざっくり押さえておこう
9 税理士も間違える!? 「マイナス相続」でも相続税がかかる場合
10 「お墓の形」で相続すれば節税にはなるが……
11 「相続税率55%」の本当の意味
12 憧れのハワイで不動産。相続時はどこの税法で計算?
13 海外に移住した子供の相続税は? 進む節税封じ!
14 大物作家の相続は大変! 相続税・所得税で二重課税?
15 父親が民泊を行っていた家屋。相続時の評価は?

第3章 「よかれと思って」生前贈与の罠
1 相続・節税対策の王道! 賢い「生前贈与」
2 要注意! その気がなくてもこれって「贈与」です
3 生命保険の活用で孫の無駄遣い防止
4 深く考えず子供名義に。「うっかり贈与」の救済措置
5 誰でもできる「110万円贈与」はこう変わる
6 生命保険を名義変更すると贈与税がかかる?

第4章 税務署はどこまでも追ってくる!
1 親子間の住宅資金の貸し借りはトコトン追いかけられる
2 税務署が突然「弟の税金を払え」と。「物納」が止めた時効
3 税務署は名義を注視。「名義預金」には要注意
4 その遺言、税務署が見ることもお忘れなく
5 「フェラーリ買った」はNG? SNSも厳しくチェック
6 相続人が把握していない財産を、税務署が知っている場合も
7 「書面添付」で税務調査は回避できるのか?

第5章 厄介事が多い会社の相続
1 経営者が遺言を書くべき最大の理由
2 自分の赤字会社へ財産を「遺贈」。そんな節税アリ?
3 独身の兄の会社。万一のとき、弟は引き継ぐべきか?
4 社長が認知症になった。さあ、どうする?
5 「保証債務」の相続は厄介。保証人の地位も引き継ぐことに!
6 相続対策に会社設立。それが有利な2つの理由

著者略歴

著:内藤克
税理士法人アーク&パートナーズ代表・税理士。
1962年、新潟県生まれ。中央大学商学部卒業。95年、税理士事務所開業、2010年、税理士法人アーク&パートナーズ設立。現在、司法書士、社会保険労務士、弁護士ら専門家と同族会社の事業承継を中心にコンサルティングを行う。日弁連、日経新聞などで多数講演。ハワイにも拠点を設け、国際相続も手掛ける。ホノルル日本人商工会議所メンバー。

ISBN:9784296118854
出版社:日経BP 日本経済新聞出版
判型:新書
ページ数:272ページ
定価:950円(本体)
発行年月日:2023年09月
発売日:2023年09月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KFFD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:LNU