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企業変革のジレンマ

「構造的無能化」はなぜ起きるのか

著:宇田川元一

紙版

内容紹介

イノベーションが生まれない、事業変革ができない、利益率が低下し続けている──。
事業最適化がもたらす組織の断片化により、必要な変化が滞るという
企業変革のジレンマを、私たちはどうすれば克服できるだろうか。

デビュー作『他者と働く』で異例の大反響を呼んだ注目の経営学者が、
〈構造的無能化〉という独自のキーワードをもとに、
今、多くの企業が直面する複雑な問題のメカニズムを丁寧に解き明かし、
状況打開への道筋を示す、まったく新しい企業変革論。

 新規事業開発をはじめ、企業変革の取り組みには様々なジレンマが付きまとう。
 なぜなら、私たちは長期的な問題への対処や地道な取り組みの大切さを薄々わかりながらも、日々の成果を求められるなかで、四半期ごとの予算達成や、次々と降りかかる短期的な問題への対処などを、どうしても優先せざるをえないからだ。

 さらに、企業の持続的発展のために取り組むべき複雑な問題の全体像は一概にはつかめないため、あるいは自分たちが問題を把握できていないこと自体がわからないために、大切な問題は後回しにされやすい。

 本書では、今、多くの企業が直面する、「必要な変化が生まれない」という問題のメカニズムを、国内外の様々な企業事例や、経営学をはじめとする幅広い学術的知見をもとに、丁寧に掘り下げていく。

 具体的には、組織で働く一人ひとりが自ら戦略を考え、変化を生み出せるようになるために必要なことを、4つの実践のプロセスと、「多義性」「複雑性」「自発性」という3つの論点にもとづいて解き明かしていく。その際に参考にするのは、「ナラティヴ・アプローチ」や「ポジティブ・デビアンス」、「センスメイキング」をはじめとする独自性の高い理論であり、そこで示されるのは「組織をケアする」という新しい考え方だ。

 経営層、ミドル層、メンバー層によらず、組織に集う一人ひとりが自ら考え、実行する力を回復し、その企業をよりよいものにしていけるという実感を持てるようになるには、どうすればいいだろうか。本書はその難問に、正面から取り組もうとするものである。

目次

序章│企業変革のジレンマにどう挑むか
第1章│あなたの会社で今、起きていること
第2章│ 企業変革に必要な4つのプロセス
第3章│ 構造的無能化はなぜ起きるのか──組織の機能不全のメカニズムを読み解く
第4章│ 企業変革に必要な3つの論点
第5章│ 「わからない」壁を乗り越える──組織の「多義性」を理解する
第6章│ 「進まない」壁を乗り越える──組織の「複雑性」に挑む
第7章│ 「変わらない」壁を乗り越える──組織の「自発性」を育む
第8章│ 企業変革を推進し、支援する
おわりに

著者略歴

著:宇田川元一
埼玉大学経済経営系大学院准教授
1977年生まれ。専門は経営戦略論・組織論。早稲田大学アジア太平洋研究センター助手、長崎大学経済学部准教授、西南学院大学商学部准教授を経て2016年より埼玉大学大学院人文社会科学研究科(通称:経済経営系大学院)准教授。企業変革、イノベーション推進の研究を行うほか、大手企業やスタートアップ企業の企業変革アドバイザーも務める。主な著書に『他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論』(NewsPicksパブリッシング)、『組織が変わる──行き詰まりから一歩抜け出す対話の方法2 on 2』(ダイヤモンド社)がある。2007年度経営 学史学会賞(論文部門奨励賞)、日本の人事部「HR アワード2020」書籍部門最優秀賞受賞(『他者と働く』)。

ISBN:9784296115921
出版社:日経BP 日本経済新聞出版
判型:4-6
ページ数:292ページ
定価:2200円(本体)
発売予定日:2024年06月25日