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みずほ、迷走の20年

著:河浪 武史

紙版

内容紹介

度重なるシステム障害で信用が地に落ちたみずほFG。なぜガバナンスは働かなかったのか。日経新聞の記者が、その神髄に迫る。

●経営陣がいっせいに交代する事態に
 ATM障害が続いたみずほ銀行。21年に発生した障害は8回を数えた。22年2月に木原社長が就任し、心機一転のスタートを切った。

 みずほの障害は、東日本大震災直後にも大規模なものが発生しており、その後新しい基幹システムを投入したものの、防ぐことができなかった。システムトップにシステムが不慣れな人が就き、また障害後も、店舗で迅速な案内ができず、人災と言われても仕方がない状況を招いた。金融庁の調査では銀行の行風として「言われたことしかやらない姿勢」も指摘された。

 著者は、そこに「ガバナンス不全」を見る。銀行発足当初からシステム障害が発生し、その後、基幹システムの「旧3行」でのたらい回しも起きた。障害が起こるたびに専門社員が処分され、システムに強くない人があてがわれた。当然、社長・頭取候補と目された人も経営陣に戻ってくることはなかった。

●みずほ20年の軌跡から未来を見据える
 1989年には興銀、第一勧銀、富士がそろって時価総額で世界5位以内に入っていたが、これほどまでに米国に水をあけられてしまったのはなぜなのか。フィンテック、グローバル、グリーン分野が今後の反転のカギになるだろう。

 現役・OBのみずほ関係者のインタビューからもストーリーを展開。実態を解き明かす。
 本書は、企業風土や組織の問題を新聞記者の目線で取り上げる。

目次

序 章 みずほの宿痾

第1章 度重なるシステム障害 
1 「また、みずほか」
2 坂井社長の光と影 
3 変えられない企業体質

第2章 トップ総退陣へ 
1 金融庁とみずほの微妙な溝 
2 「言うべきことを言う組織を確立する」宣言 

第3章 世界トップクラス銀行の誕生 
1 3行統合の新たな船出 
2 そごう、マイカル問題で躓く 
3 放置されたシステム統合 
4 米国の圧力と竹中平蔵 
5 竹中プランの中で、もがくみずほ 
6 開いた三菱UFJとの差 

第4章 統合10年たっての内なる戦い 
1 最悪のタイミングでのシステム障害
2 のしかかった東電問題 
3 ワントップ・ワンバンクへの道 
4 反社融資問題で見え隠れした「無謬性」 
5 再び企業統治改革 

第5章 新社長の船出 
1 DXでの改革なるか 
2 海外銀行のデジタル化戦略 

第6章 みずほ、再生への道 
1 バブル発生からの日本の間接金融 
2 点検・企業統治モデル 
3 核となるグリーンとデジタル 

著者略歴

著:河浪 武史
日本経済新聞社 金融・市場ユニット 金融部長
1972年生まれ。95年日本経済新聞社入社、編集局流通経済部等を経て、2006年編集局経済部。金融機関、日銀などを担当。14年経済部次長(金融担当)、15年米ワシントン支局主席特派員。21年より現職。

ISBN:9784296113750
出版社:日経BP 日本経済新聞出版
判型:4-6
ページ数:240ページ
定価:1600円(本体)
発行年月日:2022年06月
発売日:2022年06月14日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KFF