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学術叢書

カルピス創業者 三島海雲の企業コミュニケーション戦略

「国利民福」の精神

著:後藤 文顕

紙版

内容紹介

本書は、商品広告全盛の時代に、話題性を追いながらも社会との関係性を強く意識した先駆的な広告を展開し、カルピスの市場導入を大成功に導いた、カルピス創業者三島海雲のコミュニケーション発想と、それを受け入れた当時の世相を分析したものである。

関東大震災に見舞われながらも、「公益の精神」にもとづく企業活動を志向した三島海雲は、東日本大震災を乗り越えるべく動き出した私たちに、今日にも援用できる企業コミュニケーション戦略を示唆している!

目次

まえがき

序 章

第1章 時代の要請だった国利民福の精神
1 国利民福という考え方の小史
 (1)明治期以前の公益の観念  (2)明治期以後の公益の観念
 (3)時代の合いことばだった「国利民福」  (4)国利民福の二つのタイプ
2 国民の健康と国利民福
 (1)生活改善運動と新中間層  (2)国民の体力不足と国民病
 (3)勤倹節約と食卓観  (4)食生活改善と乳製品

第2章 国利民福の実践者三島海雲
1 勉学時代とビジネス修業時代
 (1)勉学時代  (2)ビジネス修業時代
2 「国利民福」実践の機会
 (1)乳製品「醍醐味」開発とカルピスの誕生
 (2)時代のニーズを証明したカルピスの販売実績

第3章 三島海雲のコミュニケーション戦略
1 広告観―自負心に支えられた広告への想い―
2 「日本一主義」
3 「カルピス」のネーミング
4 キャッチフレーズ“初恋の味”が生まれた背景

第4章 三島海雲の広告・プロモーション活動
1 新発売期の新聞広告
 (1)新聞特性による使い分け  (2)カルピス広告のメッセージ開発
 (3)広告制作体制
2 カルピスのキャンペーン
 (1)広告キャンペーン  (2)プロモーション・イベント
3 広告に見る社会貢献のタイプと三島海雲

第5章 国際ポスター懸賞公募と日本人の海外へのまなざし
1 国際ポスター懸賞公募
2 高まる海外への関心
 (1)博覧会の時代  (2)人気を博した海外の映画作品
 (3)新聞メディア主催のイベント企画

第6章 結論―公益重視の倫理観への回帰―
1 要約と補足
2 三島海雲の三つの成功要因

付表
参考文献

あとがき

著者略歴

著:後藤 文顕
1944年東京都生まれ。1966年早稲田大学第一政治経済学部経済学科卒業、株式会社博報堂入社。営業勤務のかたわら、日本語教育に携わる。早期退職後、2003~2009年大正大学文学部表現文化学科非常勤講師として「広告コミュニケーション論」を担当。2011年東京経済大学大学院コミュニケーション学研究科修士課程修了。

ISBN:9784284103343
出版社:学術出版会
判型:4-6
ページ数:176ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2011年09月
発売日:2011年09月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TDCT