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作曲家◎人と作品

プロコフィエフ

著:菊間 史織

紙版

内容紹介

ウクライナに生まれ、大陸をまたにかけて活躍したロシアの作曲家プロコフィエフの、海外の最新研究を反映した日本語評伝がついに刊行。
「生涯篇」では、プロコフィエフ研究の日本での第一人者である著者が、日記・手紙、最新の研究から、彼の考えや足取りを丁寧にたどり、彼の作曲への献身と聴衆への愛を浮かび上がらせる。プロコフィエフ研究は海外に資料が散在しているため困難で、古いままの情報が共有されてきたが、彼の人生と音楽活動について、今まで日本語では読めなかった多くの事実が明かされていく。
「作品篇」では、バレエ音楽《シンデレラ》、小学校音楽科の教科書に長らく使われていた《ピーターと狼》や、ピアノ協奏曲、映画音楽など、ジャンルが多岐にわたる各作品の創作の背景や詳細が、当時の社会情勢もふくめてまとめられている。「作品一覧」「年譜」の資料篇も充実。プロコフィエフ、ひいてはロシア音楽のファン必携の一冊。

目次

■生涯篇■
第一章 母のピアノに導かれて(1891~1910)
ウクライナの村/劇に熱中する少年/グリエールのレッスン/技師か、音楽家か/ペテルブルグ音楽院入学/ゆらぐ帝政と音楽生活/最高の作曲仲間の登場/演奏会デビュー/作曲科を卒業し「自由芸術家」へ/父の死と内面の秋

第二章 果てしない冒険(1911~1923)
演奏される曲を書くために/成功と情熱の連鎖/幻影的日々から外国との出会いへ/有終の美とディアギレフからの呼び声/愛とイタリア、そして内に向かう魂/奥深く、熱狂者たちの世界へ/革命のペトログラードと静かな星空/太平洋への憧れ/大正時代の日本で遊ぶ/アメリカへの進出/崖っぷちのオペラ作曲と女性たち/母の救出作戦/ヨーロッパでの再会のとき/カリフォルニア・ツアー/ようやく世に出たバレエとオペラ/ドイツ山岳地帯での結婚

第三章 演奏と作曲と家庭の間で(1924~1937)
息子の誕生と母の死/信仰療法への傾倒/誰を相手に書くか/欧米を駆けめぐり、心はソ連に向かう/ソ連に旅した二カ月/あれこれの仕上げとドライブと教会/作曲のあらたな境地/大きな成功を手にするものの/アメリカツアーと次々に舞い込む委嘱/流れ出る美しい言葉のない音楽/トリトン、そしてやって来るソ連からの刺激/はじめての映画音楽/古代エジプトを描く劇音楽/美しきポレノヴォでの創作の夏/おとぎ話とプーシキンとレーニンの世界/後戻りはできない

第四章 文学少女を傍らに(1938~1953)
ハリウッドの余韻/ウクライナを描くオペラ/挑戦的なソナタと喜劇的なオペラ/愛のおとぎ話から戦争への呼応へ/トビリシに響くワルツ、アルマアタの映画界/久々のモスクワ、そして森の茸とシンデレラとフルート/同僚の輪のなかで書かれた交響曲/時間が止まったひととき/林の別荘地で続ける作曲/現実を見つめて/とてつもない攻撃/ウラルの地底の美への想い/病床での創作/別れのとき/死後に

■作品篇■
オペラ  バレエ  劇音楽  映画音楽  交響曲  協奏曲  室内楽  
その他の管弦楽、吹奏楽  独唱、合唱、朗読と管弦楽のための音楽  独唱、合唱とピアノのための音楽  ピアノ曲

あとがき

■資料篇■
年譜
作品一覧
主要参考文献
人名索引

著者略歴

著:菊間 史織
音楽学者。東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了、博士(音楽学)。日本音楽学会会員。著書に『「ピーターと狼」の点と線:プロコフィエフと20世紀 ソ連、おとぎ話、ディズニー映画』(音楽之友社、2021年)、項目執筆に『ロシア音楽事典』(カワイ出版、2006年)、主な論文に「ロシア・オペラにおけるデクラメーションの使用:《石の客》、《結婚》、《賭博者》」(『音楽学』、2007年)などがある。

ISBN:9784276221901
出版社:株式会社音楽之友社
判型:B6変
ページ数:248ページ
価格:2400円(本体)
発行年月日:2024年03月
発売日:2024年03月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AVM