近代日本において、日本人の海外進出や大日本帝国の「勢力圏」の拡大に伴って、アジア地域を中心に海外に多くの神社が建てられた。これらの神社は「海外神社」とよばれている。海外神社は「大日本帝国」の崩壊とともに、その機能を停止したが、本書はその機能を停止した海外神社(跡地)が、現在、さまざまに景観を変容させて存在していることを明らかにした。さらに、その変容の要因を分析することにより、海外神社(跡地)の現在の姿は、たんに過去(戦前)の残影、残滓というよりも、当該地域・国の現在(いま)をあぶりだすものになっていることを明らかにした。