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アジ研選書 32

エジプト動乱

1.25革命の背景

編:伊能 武次
編:土屋 一樹

紙版

内容紹介

本書は、エジプト1.25革命の背景にある国内的な文脈について、多面的に考察したものである。主たる対象時期を1990年代以降としたため、1.25革命を20世紀初頭以降の歴史的な文脈のなかで位置づける考察や、あるいは現在進行中のアラブ諸国における政治的変動と比較して分析することはできなかった。広範な論点から1.25革命をとらえることを今後の課題としたい。エジプトの1.25革命はいまだ成就せず、またほかのアラブ諸国においても「アラブの春」はすでに過ぎ去った。さらに、シリアやアラビア半島では「長いアラブの夏」に突入した。2011年初めにアラブ諸国を席巻した熱狂は、表面的には消失しつつあるかのようにもみえる。しかしながら、エジプトのタハリール広場での大規模な抗議行動で覚醒した新しい社会運動は、今後アラブ諸国に確実に引き継がれるだろう。

目次

序章 エジプト動乱 / 伊能 武次
 はじめに-「アラブの春」の明暗-
 第1節 エジプト1.25革命の文脈
 第2節 本書のねらいと構成
 おわりに

第1章 未完の革命エジプト-移行期の政治序説- / 伊能 武次
 はじめに-迷走するムバーラク後の政治-
 第1節 ムバーラク政治とはなんであったか-ムバーラク政権試論-
 第2節 新しい政治のはじまり-1.25革命の背景-
 第3節 2月11日以後の政治
 おわりに

第2章 政府と企業-1990年代から1.25革命まで- / 土屋 一樹
 はじめに
 第1節 経済改革期の経済開発政策と政策の担い手
 第2節 生産活動の担い手としての企業と経済団体
 第3節 政府と企業の関係
 第4節 1.25革命と政府・企業関係
 おわりに

第3章 2000年代後半における抗議運動と1.25革命-労働運動と民主化運動の発展過程に注目して- / 金谷 美紗
 はじめに
 第1節 2007年以降における労働運動の変化
 第2節 労働運動から民主化運動へ
 第3節 民主化運動の高まりから1.25革命へ
 おわりに

第4章 体制移行期における宗教政党の躍進-2012年人民議会選挙の考察- / 鈴木 恵美
 はじめに
 第1節 選挙制度の改正
 第2節 選挙結果
 第3節 イスラーム穏健派-自由公正党-
 第4節 イスラーム厳格派-サラフィー主義政党-
 おわりに

第5章 エジプトにおける1.25革命の社会経済的背景-人口、失業、貧困- / 岩崎 えり奈
 はじめに
 第1節 若者の人口増大
 第2節 失業問題
 第3節 所得格差と貧困
 おわりに

あとがき

著者略歴

編:伊能 武次
伊能 武次  和洋女子大学人文学群教授
土屋 一樹  アジア経済研究所地域研究センター研究員
金谷 美紗  中東調査会研究員、青山学院大学非常勤講師
鈴木 恵美  早稲田大学イスラーム地域研究機構主任研究員
岩崎 えり奈 共立女子大学文芸学部准教授

ISBN:9784258290321
出版社:アジア経済研究所
判型:A5
ページ数:142ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2012年12月
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JP
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:NH