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オープンダイアローグ 思想と哲学

編:石原 孝二
編:斎藤 環

紙版

内容紹介

オープンダイアローグは地域精神医療の包括的なアプローチで、近年世界的な注目を集めている。この「対話実践」の背景となった思想の源流を辿り、ラカン派の精神分析、現象学、哲学対話といった現代哲学のアプローチとの関係を論じる。オープンダイアローグの思想的基盤を多面的に描き出す。

目次

はじめに(石原孝二・斎藤 環)

Ⅰ オープンダイアローグの思想の源流

1 オープンダイアローグの思想(石原孝二)
 1 オープンダイアローグの特徴と7つの原則
 2 オープンダイアローグの源流
 3 オープンダイアローグの思想的基盤
 4 哲学との対話へ

2 ベイトソンを学ぶのは何のため?──関係性言語という語学(·野村直樹)
 1 開け、対話を!
 2 属性言語と関係性言語
 3 時をまたぐ言葉を『精神の生態学』で学ぶ
 4 デカルトからベイトソンへ

3 ナラティヴ・アプローチとオープンダイアローグ(野口裕二)
 1 共通点と相違点
 2 セイックラ自身による言及
 3 おわりに

4 コンテクストとしてのリフレクティング(矢原隆行)
 1 はじめに
 2 リフレクティング・チームの誕生とそれまでのアンデルセンの歩み
 3 リフレクティング・トークとリフレクティング・プロセス
 4 オープンダイアローグにおけるリフレクティング・トークと間
 5 リフレクティング・プロセスとしてのオープンダイアローグ

5 バフチンの対話の哲学(河野哲也)
 1 オープンダイアローグへのバフチンの影響
 2 テキストと発話ジャンル
 3 対話の応信性とコミュニケーション
 4 腹話性と多声性
 5 モノローグ的な対話とダイアローグ的な対話

II オープンダイアローグと現代の思想・哲学

6 「対話」の否定神学(斎藤 環)
 1 はじめに
 2 ただ「一体感」のためではなく
 3 分析の主体、OD の主体
 4 「臨床家ラカン」との訣別
 5 「否定神学」について
 6 否定神学の擁護
 7 言語=隠喩
 8 隠喩と身体
 9 否定神学の身体的基盤
 10 「逆説」の治療的意義
 11 事例
 12 「他者」の身体
 13 結語

7 精神分析とオープンダイアローグ(松本卓也)
 1 はじめに
 2 精神分析とオープンダイアローグの臨床空間
 3 精神病理学とラカンにおける主体
 4 ラカンからガタリへ─オープンダイアローグとの距離
 5 おわりに

8 現象学とオープンダイアローグ─フッサール、デネット、シュッツ(石原孝二)
 1 フッサールの現象学
 2 現象学的精神病理学
 3 一人称複数の視点とヘテロ現象学
 4 世界を共有するシステムとしてのオープンダイアローグ
 5 シュッツの現象学的社会学
 6 直接世界・同時代世界・先代世界
 7 直接世界を維持するシステムとしてのオープンダイアローグ
 8 意味連関の修復支援システムとしてのオープンダイアローグ

9 哲学対話とオープンダイアローグ(山森裕毅)
 1 はじめに
 2 哲学対話のおおまかな特徴
 3 哲学対話の代表的な四つの形式
 4 哲学カウンセリング
 5 哲学対話とオープンダイアローグの学び合い
 6 おわりに

10 ダイアローグの空間──哲学カフェ、討議、オープンダイアローグ(五十嵐沙千子)
 1 哲学のカフェ
 2 アジールと日常世界における討議
 3 連帯するオープンダイアローグ

11 レヴィナスとオープンダイアローグ(村上靖彦)
 1 序に代えて
 2 顔とオープンダイアローグ
 3 師としての他者
 4 貧しい他者
 5 タルムードとオープンダイアローグ

おわりに──すべての思想を対話に置き換えること(斎藤 環)

著者略歴

編:石原 孝二
東京大学大学院総合文化研究科教授
編:斎藤 環
筑波大学医学医療系教授

ISBN:9784130604147
出版社:東京大学出版会
判型:A5
ページ数:200ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2022年03月
発売日:2022年03月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MJ