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超越性の教育学

著:田中 智志

紙版

内容紹介

教育思想研究を牽引してきた著者の重要論集。教育ということを擁護する根拠にむけて

教育というわざの核の核、芯の芯とは何にあるのだろう。教育人間学、臨床教育学など現代の教育思想が問うてきたもの、ハイデガー、デューイ、ドゥルーズが投げかけてきたもの。いま教育を擁護することができるとすれば、何によるのか。ことば、交感、そして希望へと、読者を思索に誘う。

目次

はしがき

序 章 超越が閑却されるなかで――自己創出と関係性
 1 閑却される超越
 2 機能的分化と〈よりよく〉
 3 自己創出と関係性
 4 問い・提案・構成

第I部 比喩の存在論

第1章 言語活動の存在論――表象すると想像する
 1 言語活動を存在論的に
 2 文脈としての全体性
 3 スローンの洞察-想像論
 4 比喩論的動態
 5 矛盾的である人格

第2章 探究と文脈――人はどのようにわかるのか
 1 人はどのようにわかるのか
 2 デューイの探究論
 3 デューイの記号と象徴
 4 プロジェクト型授業と存在論的思考
 5 存在論的な文脈構成へ

第3章 表徴と反復――人はどのように学ぶのか
 1 人はどのように学ぶのか
 2 ドゥルーズの表象論
 3 ドゥルーズの表徴論
 4 表徴の学びと理念への信
 5 超越性に向かう表徴の学び

第4章 隠喩とイロニー――人はどのように超越するのか
 1 人はどのように超越するのか
 2 思考と一義性
 3 隠喩と霊性
 4 イロニーと「良心の呼び声」
 5 人は内在的に超越する

第Ⅱ部 交感の存在論

第5章 教育関係の存在論――共存在と超越
 1 教育関係を存在論的に
 2 ハイデガーの共存在論
 3 交感が教育関係を構成する
 4 教育関係の交感論的基礎

第6章 一つのいのちと関係性――人はどのように感じるのか
 1 人はどのように感じるのか
 2 ドゥルーズの一つのいのち
 3 交感と愛他の関係
 4 一つのいのちと経験
 5 一つのいのちを支える関係性

第7章 自律と関係性――どのように人を気遣うのか
 1 どのように人を気遣うのか
 2 ケアリングと交感
 3 親近の関係性と唯一性
 4 享受の関係性と敢然性
 5 自律を支える交感の関係性

第8章 希望と関係性――どのように教育を肯定するのか
 1 どのように教育を肯定するのか
 2 教育の肯定性とメリオリズム
 3 生の希望と生動の経験
 4 生の希望を生みだすもの
 5 教育臨床学の課題

終 章 超越性の教育学――強度とメリオリズム
 1 教育の相互活動
 2 強度(固有的かつ超越的に)
 3 メリオリズム(未然のテロスへ)
 4 活動と超越性

あとがき

著者略歴

著:田中 智志
東京大学大学院教育学研究科教授。1958年生まれ。東京学芸大学助教授、山梨学院大学教授等を経て現職。単著に『人格形成概念の誕生』(東信堂、2005年)、『教育思想のフーコー』(勁草書房、2009年)、『共存在の教育学』(出版会、2017年)、共著に『プロジェクト活動』(東京大学出版会、2012年)や『キーワード 現代の教育学』(共編、東京大学出版会、2009年)などのテキスト多数。また『デューイ著作集』の総監修をつとめる。

ISBN:9784130513654
出版社:東京大学出版会
判型:A5
ページ数:388ページ
定価:12000円(本体)
発行年月日:2023年09月
発売日:2023年09月29日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNA